EXHIBITIONS

ちひろ美術館コレクション

絵本の世界を飛び出して

2020.10.17 - 2021.01.31

クヴィエタ・パツォウスカー 黄色いクレヨンを持つ像 1988

エフゲーニー・ラチョフ 走る鳥 1965

ビンバ・ランドマン 三連祭壇画『ジョットという名の少年 羊がかなえてくれた夢』 2002-2003

 ちひろ美術館が世界の絵本の魅力を伝えるコレクション展の今回は、絵本の世界を飛び出した創作活動にも注目する。

 紹介作家のひとり、エフゲーニー・ラチョフは、動物を主人公にしたロシア民話の絵本で、日本でもよく知られている画家。シベリアで野生の動物に親しんで育ったラチョフは、動物のかたちや動きを知り尽くし、林で拾った木を鳥に見立てて彫刻を手がけた。本展ではそのなかから、いまにも駆け出しそうな鳥の作品《走る鳥》(1965)を展示する。

 イタリア出身のビンバ・ランドマンは、レオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロなど著名な画家たちの人生を描いた絵本が日本でも翻訳出版されている女性画家。本展では、ルネサンスの出発点にたつ画家・ジョットの少年時代を、三連祭壇画の手法を取り入れて描いた絵本『ジョットという名の少年 羊がかなえてくれた夢』を紹介する。

 これらのほかにも、紙という素材の魅力を自在に引き出すクヴィエタ・パツォウスカー(チェコ)や、木やブリキなどの素材を用いて、生き生きした動物を創作するユゼフ・ヴィルコン(ポーランド)、そして、流木を素材に愉快な人や動物をつくり出した荒井良二(日本)の作品も展示。5人の個性的な画家たちの、自由な発想から生まれた造形を楽しみたい。

※ちひろ美術館・東京は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、2021年1月2日より当面のあいだ臨時休館。最新情報は公式ウェブサイトへ。