EXHIBITIONS

ニューアートシーン・イン・いわき

小板橋弘展

2020.09.12 - 10.25

小板橋弘 月夜 2002

小板橋弘 古い波(TOYOMA) 2008

小板橋弘 いのちの海 2014

 いわき市立美術館が市に縁のある作家を取り上げる企画展シリーズ「ニューアートシーン・イン・いわき」。今回は日本画家の小板橋弘(こいたばし・ひろし)を紹介する。

 小板橋は1959年栃木県宇都宮市生まれ。82年にヴィジュアルデザイン研究所を卒業後、フリーデザイナーとして活動するなかで、20代半ばに日本画に開眼し、独学で絵画表現を模索する。作画に集中するため、91年にいわき市川前町に移住。電気も電話もない大自然のなかでの生活に覚悟を決めて向き合い、デザイナー時代に培った感性や技術と日本の伝統技法とを融合させた「新しい風景表現」を探求しながら作画生活を送る。結婚を機に茨城県に移住後も、いわき市との美術を通したつながりは続いている。

 手すきの和紙に墨や岩絵具で描かれた海、空、山々。現代社会の利便や喧騒を離れ、孤独とも言える環境で己を研ぎ澄ましていった画家がたどり着いた「桃源郷」のような風景画は、穏やかで静寂で凛としていて、時にユーモラスでもある。

 本展では、小板橋の最新作を含む作品16点を展示。どこかにありそうでいまにも手の届きそうな「別天地」に、静かに心を遊ばせる機会を提供する。