EXHIBITIONS

特集展示

没後10年 榊莫山展

2020.09.24 - 12.27

榊莫山 寒山拾得 1994 三重県立美術館蔵

榊莫山 野蕗 2008 三重県立美術館蔵

 おおらかな書風と飾らない人柄で多くの人々に親しまれた書家・榊莫山(さかき・ばくざん)の特集展示が開催される。

 榊莫山(1926〜2010)は、現在の三重県伊賀市出身。少年時代から書や絵画に親しんだ莫山は敗戦から復員すると、奈良の辻本史邑(つじもと・しゆう、1895〜1957)に師事し、本格的に書の世界に入った。若くして日本書芸院や前衛書道の奎星会(けいせいかい)で最高賞に輝き、将来を嘱望されたが、師の史邑の没後は書壇を退いて、独自の道を歩んだ。

 莫山は、山野を放浪し、道標や看板といった「路傍の書」を訪ねて思索を重ね、1960年代末から「土」や「女」、「樹」などの漢字一文字を大胆に扱った作品を発表。70年代後半からは、書と絵、詩を組み合わせた「詩書画一体」の作風を確立し、現代の文人と称された。81年に帰郷して自邸にアトリエを設け、伊賀の自然や風物と結びついた作品の数々を生み出し、2010年、84歳で亡くなった。

 三重県立美術館は莫山の遺志により、2011年に作品108点を受贈。これまで「受贈記念 榊莫山展」(2012)の開催や『榊莫山作品集』(2012)を刊行し、莫山の顕彰に努めてきた。本展では、莫山の没後10年を記念し、寄贈作品をもとに、初期から晩年までの芸術の軌跡をたどる。