EXHIBITIONS

生誕90年 平山郁夫展 悠久のシルクロード

2020.09.05 - 11.23

平山郁夫 オリエントの曙 1971 箱根・芦ノ湖 成川美術館蔵

平山郁夫 鄯善国妃子(楼蘭の王女) 1976 箱根・芦ノ湖 成川美術館蔵

 戦後日本画の世界に大きな足跡を残した平山郁夫(1930〜2009)。戦後の院展において確固たる地位を築いた平山は、《仏教伝来》(1959)で再興第44回院展に入選したのを機に、仏教伝来の道・シルクロードを生涯のテーマとして画業を推進する。68年にアフガニスタンを初めて訪れて以来、シルクロード各地を巡った平山は、40年間に百数十回を超える旅のなかで、シルクロードシリーズを描き続けた。

 平山がシルクロードを旅するきっかけとなったのは、東京藝術大学の中世オリエント遺跡学術調査団の一員として、トルコのカッパドキア地方に派遣されたときのこと。厳しい天候や渇き、飢えにひたすら耐え、シルクロードを往来した古の旅人たちに思いを馳せながら、東西文化交流の道であるシルクロードを行き交うキャラバン隊に平和を見出し、平和の祈りを込めてその姿を描いた。

 またシルクロード各地を訪れたなかで、イスラム教や仏教といった異なる宗教観での争いが引き起こされる地域を訪れ、平和の祈りを込めて筆を走らせた作品を数多く残している。

 平山の生誕90年の節目に開催する本展では、生涯をかけて旅したシルクロードの軌跡を紹介。「平山ブルー」と称される青色で描かれた作品や、大画面に描かれた名品が勢揃いする。