EXHIBITIONS

金井悠「Spectrum」

2020.09.05 - 10.04

メインビジュアル

Epemera cup 2018

Plastic Bag1 2014

「出土した玩具」をテーマに制作を行うアーティスト・金井悠(かない・ゆう)の個展がLEESAYAで開催される。

 金井は1984年兵庫県に生まれ、京都精華大学修士課程陶芸専攻修了。在学中からアーティストユニット「contact Gonzo」のメンバーとして活動。ニューヨーク近代美術館(MoMA)をはじめとした国内外の美術館・劇場などで即興的なパフォーマンス作品や映像、写真作品の制作、マガジンの編集など多岐に渡る活動に携わり、2014年から本格的に自身の活動を開始する。

 現在は「出土した玩具」をテーマに、食器や花器からオブジェに至るまで、陶土を用いた新しい表現を模索している金井。その作品は表面性とマチエールへの興味を中心に、伝統技法を応用しながら多種多様に展開されている。

 紙製のパーツを原型として型取りした「Ephemera」シリーズでは、作品の表面に細かい皺や紙の質感を転写。また「Plastic Bag」シリーズでは名前の通り、コンビニエンスストアのレジ袋をベースしており、作品が巧妙にビニールの素材感を帯びている。

 これらの作品と並行して、縁起物として日本古来のオブジェであるだるまや福助人形、招き猫をモチーフとした作品シリーズを制作。それぞれのキャラクターが持つイメージやエピソードを改めてとらえ直し、魔除けや縁起物としてこれらをつくり上げた人々の死生観に触れる。

 今回の展覧会のタイトルである「Spectrum」は、電磁波、信号、音、光などの成分を分解し、波長の順番に並べたものを意味する、分光学や物理学における専門用語。陶芸作品の制作をはじめ、パフォーマンス表現やデザインなど現在までの多岐に渡る自身の活動を並列にとらえ、相互作用を楽しむ作家の様子を感じさせる展示となる。