EXHIBITIONS

黒宮菜菜「カタストロフの器」

2020.08.01 - 09.12

黒宮菜菜 新作(原案) 参考図版 2020

「ゆらぎ」の絵画で人間の性と世界の有様を表現する気鋭画家・黒宮菜菜が、「VOCA展2020」での大作を携えて2年ぶりの個展を開催する。

 黒宮は1980年東京都生まれ、2015年京都市立芸術大学博士(芸術学)学位取得。これまで、主に人体をモチーフとした油彩画を制作。また近年では、画仙紙や水墨画用紙といった和紙素材に着目し、染料を描画材に独特なマチエールを有する作品にも取り組む。

 前回2018年のノマルでの初個展以降、昨年の大原美術館の若手作家支援事業「ARKO」招聘と同館での作品発表や、今年3月に開催された「VOCA展2020」での佳作賞受賞など、着実に作家としてのステップアップを果たし、全国的にも多くの注目を集めている。

 黒宮が描く境界が曖昧で幻想的なイメージは、見る人の想像力を喚起させ、曖昧であるがゆえにより強い印象を脳裏に焼きつける。また画中の絵具が流れた痕跡は、美しくまた儚くも、様々の移ろいを想起させる。

 本展は、黒宮が以前より関心を持っていたという言葉「カタストロフ」をテーマに、今年の「VOCA展」で発表した200号の大作の関西での初公開や、新たなイメージ展開として「崖の上」「橋の上」シリーズの発表など、現在の充実した制作活動を反映した意欲的な展示。今後のさらなる活躍に期待のかかる気鋭作家・黒宮菜菜の新作展に注目してほしい。