EXHIBITIONS

隅田川に育まれた文化 浮世絵に見る名所と美人

2020.06.02 - 06.28

歌川国貞(三代歌川豊国) 江戸八景ノ内 隅田つゝみの晴嵐 個人蔵 後期展示

二代歌川広重 東都三十六景 今戸橋 真乳山 個人蔵 後期展示

三代歌川豊国 江戸名所之内 むかふ島 個人蔵 前期展示

楊洲周延 見立十二支 丑 向島牛島神社 個人蔵 前期展示

歌川広重 江戸高名会亭尽 本所小梅 小倉庵 たばこと塩の博物館蔵 前・後期展示

歌川国貞(三代歌川豊国) 平岩 個人蔵 後期展示

 たばこと塩の博物館で、隅田川とその流域が描かれた作品や美人画揃物など、前・後期合わせて約200点を紹介する展覧会が開催中。本展は途中で臨時休館となっていたが、会期を6月28日までに延長し、現在は後期展示作品を基本に約100点を鑑賞できる。

 物流や交通の要所であった隅田川。その周辺には、花の名所、役者の別荘や豪華な造りの料亭があり、粋に着飾る芸者の姿も見られた。「絵になる」題材が豊富な隅田川沿いの風景は、19世紀前半の浮世絵に多く描かれ、美人画や役者絵の背景やコマ絵として描かれたものも数多い。また隅田川の近くは、絵師の歌川国貞(三代歌川豊国)や歌川国芳といった浮世絵師たちが居住したところでもあった。

 奢侈禁令が掲げられた天保期(1830~44)末には、浮世絵の題材も規制された。衣類や装飾品、料亭、別荘、そして浮世絵そのものが取り締りの対象になり、遊女や役者の似顔は禁じられた。浮世絵の制作が難しい時代に、三代豊国や国芳をはじめとする絵師たちは、禁令に触れないような工夫を凝らした作品を生み出した。

 本展は、名所と美人が描かれた浮世絵に焦点を当て、3部で構成。第1部「描かれた江戸の水辺 隅田川を中心に」では隅田川の景観とその流域が描かれた作品を、第二部「弘化・嘉永期の美人画 国芳・三代豊国の揃物を中心に」では三代豊国と国芳の美人画揃物を、そして第三部「江戸の後」では明治においても描かれた隅田川と美人などを紹介する。

※たばこと塩の博物館は6月2日より再開。来館にあたっての注意事項および最新情報は公式ウェブサイトにて案内。