EXHIBITIONS

パリが生んだ苦悩の画家 没後65年

モーリス・ユトリロ展

日本橋髙島屋 S.C. 本館 8階ホール
2020.03.04 - 03.15

モーリス・ユトリロ クリニャンクールのノートル=ダム教会 1911

モーリス・ユトリロ 教会、ヴィルタヌーズ 1912~14頃

リュシー・ヴァロール モーリス・ユトリロの肖像 1943頃

 パリで生まれ、哀愁漂う街の風景を描いた画家モーリス・ユトリロ(1883〜1955)。フランス国家の勲章やパリ市民賞といった栄誉を得ながらも、その人生は幸せとは縁遠いものであった。

 ユトリロは、母親であり画家でもあるシュザンヌ・ヴァラドンから十分な愛を受けられず、その寂しさで幼少期より飲酒を覚え、生涯を通してアルコール依存症に苦しんだ。

 ヴァラドンは治療の一環でユトリロに絵を教え、その作品が売れ始めてからは、ユトリロの友人であり画家でもあるアンドレ・ユッテルと結婚。ヴァラドンとユッテルは、ユトリロの財産で贅沢な暮らしを得た。ユトリロ自身は、51歳のときに5歳年上の女性であるリュシー・ヴァロールと結婚するも、家に閉じ込められたまま、絵の制作を続けていたと言われている。

 本展では、ユトリロの数奇な人生にスポットを当て、絵画の裏に潜むドラマとともに作品を紹介。母ヴァラドンやユッテル、母親と親交のあったピエール=オーギュスト・ルノワール、日本初公開となる妻ヴァロールの油彩画など、ユトリロと縁のある画家たちの作品を含めて約75点が展示される。