千田泰広 ―イメージからの解放―

　国際的に活動するライトアーティスト・千田泰広（ちだ・やすひろ）が、新作インスタレーションを発表する。

　千田は1977年生まれ。登山やアイスクライミング、ケイビングなどの経験を素地に持ち、「空間の知覚」と「体性感覚の変容」を主題としてインスタレーション作品を展開。各国の芸術祭への出展のほか、舞台美術、レクチャー、ワークショップなどにも精力的に取り組み、近年ではウェブサイトARTDEXにて、「世界の優れた9人のライトアーティスト」のひとりとして紹介されるなど、その活動が注目されている。

「世界の不思議さそのものの、人間の可能性を見たい」と語る千田の作品は光を素材とし、既存の場を生かしながら、見る者の深奥にあるものと静かに共振する空間をつくり出す。鑑賞者たちはその空間に入り込み体感することを通して、存在することの不思議さや世界というもののわからなさを、そのままに共有・共感し合うことができる。

　本展では、企画展示室内に新作インスタレーションを制作。事物に対する固定のイメージが解放される体験を味わえる。

　あわせて、これまでの制作過程で生まれた立体物や制作メモ、ドローイングなど、作家の思考の痕跡を垣間見ることができる作品や資料を展示。さらに特別企画として会期最終週には、武蔵野市民文化会館の展示室にも千田の作品が展開される。