EXHIBITIONS

特別展 江戸の茶の湯

川上不白 生誕三百年

2019.11.16 - 12.23

川上不白作 赤樂茶碗 銘 只  日本・江戸時代 18世紀 個人蔵

塩見小兵衛作 鶏頭蒔絵棗 日本・江戸時代 18世紀 個人蔵

中村芳中筆、川上不白賛 糸瓜図 日本・江戸時代  寛政12(1800)年 個人蔵

清拙正澄墨蹟 遺偈 日本・南北朝時代 暦応2(1339)年 常盤山文庫蔵 国宝

 不白流茶家の祖・川上不白(かわかみ・ふはく)の生誕300年を記念した展覧会が開催される。

 享保19年(1734)、紀州藩の江戸家老・水野家家臣の次男に生まれた不白は、16歳のときに仕官して上京。紀州徳川家の茶道師範を務めていた表千家七代・如心斎天然宗左(じょしんさい・てんねんそうさ)に入門した。

 茶の道に精励し、早々に如心斎の信任を得た不白は側近として新しい茶の湯の稽古法「七事式(しちじしき)」の制定に関わるいっぽう、師とともに大徳寺に参禅。やがて千家における正統な継承者を証明する「茶湯正脈(ちゃのゆせいみやく)」を授かり、江戸に下って千家の茶の湯を広めることに尽力した。

 不白の門人は、皇族から大名、旗本、商人、市井の人々まで様々。その茶の湯は近代の数奇者たちにも好まれ、根津美術館のコレクションの礎を築いた根津青山(初代嘉一郎)も、不白流の茶人・岡田秋湖から教えを受けた。

 本展では、不白の茶道具をはじめ、不白と如心斎との師弟関係や、門人や周辺の職人たちとの関わり、その人柄を映したような魅力的な書画、そして近代数寄者への影響まで多角的に展観。江戸の茶の湯を隆盛に導いた不白の魅力を紹介する。