EXHIBITIONS

山沢栄子 私の現代

2019.11.12 - 2020.01.26

山沢栄子 What I Am Doing No. 70 1980 銀色素漂白方式印画(チバクローム) 大阪中之島美術館蔵

山沢栄子 静物 机、皿、りんご 写真集『遠近』より 1961 オフセット印刷

山沢栄子 新聞配達の少年 写真集『遠近』より 1960 グラビア印刷

山沢栄子 コンソェロ・カネガ女史(写真家) 1955 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵

 明治から平成まで激動の時代を、性別や年齢にとらわれることなく生き抜いた写真家・山沢栄子。その生誕120年を記念した大規模個展が開催される。

 山沢は1899年大阪に生まれ、27歳で単身渡米。留学先で写真家のコンソェロ・カネガに師事した。帰国後はポートレイトの撮影を軸に、写真による造形の可能性を追い求め、「抽象(アブストラクト)写真」による独自の表現を確立。カラー写真の作品群が放つ鮮烈な色彩もまた、当時の日本では類を見ないものだった。山沢は晩年に「時代がやっと、私についてきたかな。ついてこなくてもかまわないけれど」(朝日新聞 夕刊 1992年9月12日より一部抜粋)という言葉を残している。
 
 本展では、山沢の集大成とも言えるカラーとモノクロの抽象写真シリーズ「What I Am Doing」を中心に展示。それに加え、1962年に出版した写真集『遠近』 や初期のポートレイトなど約140点もの作品、山沢に大きな影響を与えた1920年代の「アメリカ近代写真」の代表作が並ぶ。

 山沢の軌跡を遡ることができる展示構成の本展。日本における女性写真家の草分けとして、戦前から半世紀以上にわたり活躍した山沢のカメラはどのような世界を写しだしたのか。ぜひその目で確かめてほしい。