EXHIBITIONS

柳幸典

2019.11.02 - 12.21

柳幸典 Akitsushima Instruction 2000 © Yukinori Yanagi Courtesy of Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo

 柳幸典は1959年福岡県生まれ。制度的・国家的統制のシステムや国の境界、植民地化、難民危機などの事象を扱い、政治的に押しつけられたナショナリズムの表象や「不変の象徴的な記号」といったテーマに取り組んできた。

 本展は、吉竹美香のキュレーションで日本美術の歴史的に検証した「パレルゴン:1980年代、90年代の日本の美術」展(Blum & Poe、ロサンゼルス、2019)に続いて柳の取り組みを紹介。第二次大戦中の大日本帝国海軍の水上機母艦で、現在はフィリピンのコロン湾深くに沈む秋津洲(あきつしま)を模した鋳鉄製の立体作品《アキツシマ50・I/II》(2019)を中心に構成される。

 90年代後半頃から、隠れた戦争の歴史を掘り起こす探索の場として太平洋という場所に着目してきた柳。プラモデルキットの縮尺を拡大させた鋳鉄製の《アキツシマ50・I/II》は、戦争に革命をもたらした戦艦建設という技術的進歩を示唆する、そのパーツの細部一つひとつを物的に浮かび上がらせることで、暴力の集団的歴史についての再考を提起する。

 本展には、キャンバス作品《アキツシマ・インストラクション》や、柳が、秋津洲の爆沈地でのスキューバダイビングで行ったフィールドワークでの記録をもとに描いたドローイング作品《ダイビング・ログ(アキツシマ)》、写真作品《アキツシマ(BOW)》と《アキツシマ(GUN)》がともに並ぶ。