EXHIBITIONS
関根伸夫 1942-2019
今年5月に惜しまれながら逝去した、もの派の代表的作家・関根伸夫の回顧展が開催される。
1942年埼玉県で生まれた関根は、多摩美術大学で斉藤義重や高松次郎に師事。当時主流だったアンフォルメル的な作風を素描や平面の実験を繰り返すうち、「現代美術とは空間認識の問題ではないか」という考えに行き着き、空間や物体の成り立ち方を認識し明らかにする作品の制作を開始した。その作品のひとつ「位相」シリーズは、ベニヤ板を曲げ加工し蛍光塗料を塗布した、見る角度によって平面的にも立体的にも見える作品群。現実の空間を位相空間的にとらえようと、レリーフ状の平面と立体のあいだ円筒形の作品をつくり、位相空間の現出させることを試みた。
68年には現代日本野外彫刻展で《位相―大地》を出品。大地を巨大な円筒形にくり抜き、掘出した土を積み上げてかたちづくった円筒形をその穴の横に置いた作品は、美術界に大きな衝撃を与え、後の「もの派」誕生のきっかけとなった。それからも関根は、円筒形のスポンジを鉄板の重さでゆがませた作品や、ステンレスの角柱の上に巨大な石を乗せた作品などを精力的に発表。また、公共空間に現代彫刻を設置するという発想がまだ一般的ではなかった73年に「環境美術研究所」を設立し、以降各地に数百ものアートプロジェクトを設置した。
本展では関根の空間認識を探る礎となった貴重な初期の「位相」シリーズの《位相No.9》をメインに、作家が「素描でもって考え、次の様相へ展開する」と述べたアイデアの源泉である素描の数々、版画なども展示。関根がもの派に至るまでの試行錯誤、そしてその後の展開を回顧し、日本の現代美術史における作家の重要な役割を再考する。
1942年埼玉県で生まれた関根は、多摩美術大学で斉藤義重や高松次郎に師事。当時主流だったアンフォルメル的な作風を素描や平面の実験を繰り返すうち、「現代美術とは空間認識の問題ではないか」という考えに行き着き、空間や物体の成り立ち方を認識し明らかにする作品の制作を開始した。その作品のひとつ「位相」シリーズは、ベニヤ板を曲げ加工し蛍光塗料を塗布した、見る角度によって平面的にも立体的にも見える作品群。現実の空間を位相空間的にとらえようと、レリーフ状の平面と立体のあいだ円筒形の作品をつくり、位相空間の現出させることを試みた。
68年には現代日本野外彫刻展で《位相―大地》を出品。大地を巨大な円筒形にくり抜き、掘出した土を積み上げてかたちづくった円筒形をその穴の横に置いた作品は、美術界に大きな衝撃を与え、後の「もの派」誕生のきっかけとなった。それからも関根は、円筒形のスポンジを鉄板の重さでゆがませた作品や、ステンレスの角柱の上に巨大な石を乗せた作品などを精力的に発表。また、公共空間に現代彫刻を設置するという発想がまだ一般的ではなかった73年に「環境美術研究所」を設立し、以降各地に数百ものアートプロジェクトを設置した。
本展では関根の空間認識を探る礎となった貴重な初期の「位相」シリーズの《位相No.9》をメインに、作家が「素描でもって考え、次の様相へ展開する」と述べたアイデアの源泉である素描の数々、版画なども展示。関根がもの派に至るまでの試行錯誤、そしてその後の展開を回顧し、日本の現代美術史における作家の重要な役割を再考する。