EXHIBITIONS

開発好明「開発再考 Vol.1 初期ビデオ作品」

2019.10.19 - 11.09

開発好明 Roll 1998 ©︎ Yoshiaki Kaihatsu

 参加型の作品を中心に展開してきたアーティスト・開発好明の初期の重要作品が公開される。

 開発は1966年山梨県生まれ、93年に多摩美術大学大学院美術研究科修士課程修了。在学中より積極的に発表を続け、国内外で多くの個展を開催、グループ展にも多数参加してきた。2001年に岡本太郎現代芸術賞優秀賞を受賞。04年にはヴェネチア・ビエンナーレ第9回国際建築展日本館の作家に選出され、代表作ともいえる「発泡」シリーズが大きな注目を浴びた。

 六甲ミーツ・アート(兵庫)や越後妻有 大地の芸術祭(新潟)、いちはらアート×ミックス(千葉)などの芸術祭でも多くの鑑賞者を取り込むユーモラスな作品を発表するいっぽう、2011年の東日本大震災の際には、トラックに作品を詰め被災地を巡回し、アートによる心のつながりを運ぶ「デイリリーアートサーカス」を立ち上げるなど、社会の出来事と関わっていく姿勢を制作の重要な柱のひとつとしている。

 本展は、開発のこれまでの活動を再考する手がかりとして、初期ビデオ作品をまとめて紹介する。出品作のひとつ《Roll》は、1998年アジアン・カルチュラル・カウンシルの助成金を得てニューヨークの滞在中に、ワンカットとワンアクションというシンプルな方法で制作されたパフォーマンス映像。前転し続ける開発の後ろにはアメリカ同時多発テロ事件の標的となったワールドトレードセンターが映っており、シンプルな行為と歴史的事件の現場という複雑さを対比させている。