EXHIBITIONS

ATM tempo I/II/III セロニアス・モンクに捧ぐ

エマニュエル・ソーニエ展

エマニュエル・ソーニエ Round Midnight 2016 Photo by André Morin © ADAGP, Paris 2017

エマニュエル・ソーニエ Round Midnight 2016 Photo by André Morin © ADAGP, Paris 2017

エマニュエル・ソーニエ Place noire 2007 Photo by Sébastien Gschwind Courtesy of the artist

エマニュエル・ソーニエ Trans 2012 Photo by Tadzio Courtesy of the artist

エマニュエル・ソーニエ Solo, Without forgetting forgetfulness 2015 Photo by Zack Barouti

エマニュエル・ソーニエ BOIS/VOIS/SOIS 2002 Photo by Fabien de Cugnac Courtesy of the artist

 エマニュエル・ソーニエ(1952年、パリ生まれ)は、70年代後半より作家活動を開始し、86年のヴィラ・メディチ(ローマ)での滞在を経て、主にガラスを用いた作品で知られるようになる。彫刻家としてのアカデミックな美術表現にとどまらず、社会と積極的に接点をもち、人との対話を通じて歴史を問い直すことに重きをおくソーニエは、制作と並行して、パリ国立高等美術学校にて研究者・教育者の役割も担う。

 ソーニエの彫刻作品は、作家にとって身近な歴史的な出来事や惨事を参照しており、人間の実存について、根源的な問いを投げかけ続けている。ガラスに水や黒いインクを満たしたオブジェは、人間そのものの姿であり、薄い皮膜に覆われた/閉じ込められた人間の身体の重量と、透明になったその存在の脆さや儚さを暗示。また、中庭に黒いアスファルトの破片を敷き詰め、仮の大地を出現させた《黒の広場》では、私たちが信じて疑わない足場の不確かさ、上書きされ覆い隠される歴史の運命を、豊かな暗喩と沈黙の中で見事に表現している。

 本展は、2月にパリのパレ・ド・トーキョーで開催されたソーニエの個展『BlackDancing』から発展し、ジャズ・ピアニストであるセロニアス・モンクへのオマージュとして構想されたものとなる。