EXHIBITIONS

生誕100年 藤本能道 ―生命を描いた陶芸家

藤本能道 霜白釉釉描色絵金彩焰と蛾図扁壺 1990 菊池寛実記念 智美術館蔵 撮影=田中良

藤本能道 梅白釉釉描色絵金彩花と蝶図六角小筥 1991 菊池寛実記念 智美術館蔵 撮影=尾見重治、大塚敏幸

藤本能道 もだえ(オブジェ) 1956 青梅市立美術館蔵

藤本能道 雪白釉色絵山帰来鶉図六角大筥 1982 菊池寛実記念 智美術館蔵 撮影=亀井友吉

藤本能道 《幻の食器》(1976)のテーブルセッティング 菊池寛実記念 智美術館蔵 撮影=尾見重治、大塚敏幸 ※美術館敷地内の西洋館(非公開)にて撮影

 2019年は、戦後日本の陶芸界を牽引した作家のひとり、藤本能道(ふじもと・よしみち)の生誕100年にあたる。藤本は陸軍中将の祖父、大蔵省書記官の父を持つ家に生まれながら芸術の道を志し、やがて陶芸家として色絵磁器の技を極め、現代陶芸の世界に大きな足跡を残した。

 伝統的な色絵磁器の技法を基礎に、絵具の改良や釉薬を用いた新たな表現に取り組んだ藤本は、「色絵磁器」技術保持者として重要無形文化財に認定された。菊池寛実記念 智美術館の創立者・菊池智は同時代につくられる陶芸のなかでももっとも集中して藤本の色絵磁器を集め、菊池コレクションには色絵磁器に専心する1970年代から最晩年の作品までが多数収蔵されている。

 本展では、色絵磁器以前の初期作品から各時期の作品を並べ、創作の深まりと、藤本の色絵表現の到達点を展観。藤本の傑作《幻の食器》を10年ぶりに公開するほか、未発表の素描などの特別出品作も加え、藤本の活動を検証・紹介する。