EXHIBITIONS

新里明士、田幡浩一「in light-Ceramic and Drawing」

2019.05.10 - 06.01

展示風景

展示風景

展示風景

© Kouichi Tabata Courtesy of Yutaka Kikutake Gallery

© Akio Niisato Courtesy of Yutaka Kikutake Gallery

 光を帯びたような「光器(こうき)」を手がける陶磁器作家の新里明士(あきお)と、画家の田幡浩一による2人展が開催されている。

 新里は1977年千葉県生まれ、2001年多治見市陶磁器意匠研究所での修業を経て作家活動を開始。イタリア・ファエンツァ国際陶芸展新人賞(2005)、国際陶磁器展美濃審査員特別賞(2008)、菊池ビエンナーレ奨励賞(2009)などを受賞し、国内のほかアメリカやイタリア、ルーマニアなど多くの展覧会に出展している。

 新里の代表作「光器」は、光によって透け文様が浮かび上がる中国の技法「蛍手(ほたるで)」を独自に進化させた作品。世の日常を超えた器のあり方を探る本技法から、近年では、伝統に根ざしながらも素材と自身の身体との対話から率直に生まれる痕跡の造形化に取り組んでいる。

 いっぽう、田幡は79年栃木県生まれ。2004年に東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業後、06年に同大学大学院美術研究科油画専攻を修了。11年より公益財団法人ポーラ美術振興財団在外研修助成などを得て、現在はベルリンを活動拠点としている。

 これまで、ペンのインクがなくなるまで蜂を描き続け、その様子を映像作品とした《bee》(2006)、ひとつのモチーフを2つの支持体にまたがって描き、それを「ずらす」ことで完成されるドローイングと油彩作品によるシリーズ「one way or another」などを発表。メディア間や支持体自体に存在する「ズレ」を通して、目の前にある対象が内包する多様な図像を丁寧に浮かび上がらせてきた。

 本展は「光」というテーマのもと、陶磁器と絵画という異なる素材による作品を組み合わせ、光と作品との関係性を探る試み。新里の代表シリーズ「光器」に白とは異なる色を追加した新作と、田幡が白い紙に白いペンで描いたドローイング作品を展示する。