EXHIBITIONS

マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展

2019.07.06 - 10.06

マリアノ・フォルチュニ 上は《オペラジャケット》、下は《デルフォス》 1920年代 神戸ファッション美術館蔵

マリアノ・フォルチュニ フード付きケープ 1930年代 神戸ファッション美術館蔵

マリアノ・フォルチュニ デルフォス 1910年代  島根県立石見美術館蔵 展示期間=8月20日~10月6日

マリアノ・フォルチュニ ワーグナーのオペラ『パルジファル』より《クンドリ》 制作年不詳 フォルチュニ美術館蔵 © Fondazione Musei Civici di Venezia - Museo Fortuny

マリアノ・フォルチュニ バラ色の衣装のための習作(アンリエット・フォルチュニ) 1932 フォルチュニ美術館蔵 © Fondazione Musei Civici di Venezia - Museo Fortuny

マリアノ・フォルチュニ ペーザロ・オルフェイ宮内部 主階 制作年不詳 フォルチュニ美術館蔵 © Fondazione Musei Civici di Venezia - Museo Fortuny

マリアノ・フォルチュニ テーブル・ランプ 1925年以降 フォルチュニ美術館蔵 © Fondazione Musei Civici di Venezia - Museo Fortuny

 軽く、しなやかな「デルフォス(繊細なプリーツを施した絹のドレス)」で、20世紀初頭の服飾界の寵児となったマリアノ・フォルチュニ。その生い立ちから多彩な創作活動に至るまでを紹介する日本初の大規模回顧展が開催される。

 フォルチュニは、プラド美術館の館長を務めた祖父や父、画家や建築家、美術評論家を輩出した芸術一家出身の母のもと、グラナダに生まれた。ローマとパリで育ち、19世紀スペイン画壇の中心的存在であった父の影響で当初は画家を志望。古典絵画や父の作品を模写し、若くして魅せられたリヒャルト・ワーグナーの歌劇の場面などを描いてヴェネチア・ビエンナーレにも何度か出品した。また、憧れのワーグナーの歌劇の舞台照明や劇場設計、舞台衣装なども手がけた。

 フォルチュニはヴェネチアで、日本から輸入されたといわれる最高級の絹地を鮮やかな色彩に染め、デルフォスや、絹のベルベットにエキゾチックな模様をあしらったマントやジャケットを制作し、パリとニューヨークで販売。体を極度に締めつけていたコルセットから女性を解放し、女性らしい自然な曲線を美しく飾った。

 本展では、フォルチュニ芸術の真骨頂である絹地のドレスやコートなどの服飾作品を軸に、絵画や版画、写真、舞台関連作品、そして蒐集していた日本の染め型紙を含むデザイン関連資料などを展観。デザイナーであっただけでなく、画家や版画家、舞台演出家、写真家、そして自身の服飾作品を世界に送り出したプロデューサーでもあったフォルチュニの業績に迫る。