EXHIBITIONS

河鍾賢(ハ・ジョンヒョン)

2019.03.23 - 05.18

河鍾賢(ハ・ジョンヒョン) 接合 18-07 2018 Courtesy of the artist and Blum & Poe, Los Angeles / New York / Tokyo

 戦後の韓国美術を代表する作家のひとり・河鍾賢(ハ・ジョンヒョン)。1960〜70年代、物資にも困窮した韓国の独裁的な政治制度下で、河はそれまで使われてこなかった新聞紙や廃材、有刺鉄線といった素材を用いて制作の可能性を探った。74年には「接合」シリーズを開始。同シリーズでは、モノクロの油絵具を粗い織の麻布の裏面から裏ごすことで溢れ出た絵画表面を、さらに筆でなぞりつけることで多種多様な抽象的構成を生み出し、絵具やキャンバスの物質性を追求した。

 李禹煥、朴栖甫、權寧禹といった同時代の作家たちとともに「単色画」の動向の担い手として活動してきた河。「単色画」の作家たちは、素材を巧みに扱いながら、絵具を押しつける、キャンバスを浸す、鉛筆を滑らせる、紙を裂くといった手法を打ち出し、油画と水墨画、彫刻と絵画、さらには鑑賞者と対象物といった定義や境界を曖昧にするような作品を生みだしてきた。

 日本では15年ぶりの個展となる本展は、近年開催された「単色のリズム:韓国の抽象」 (東京オペラシティ アートギャラリー、2017) や「Korean Abstract Art: Kim Whanki and Dansaekhwa」(宝龍美術館、上海、2018〜19)といった、「単色画」について検証する大規模な展覧会に続くもの。新作および近作から構成される「接合」シリーズからは、青、赤、オレンジといった鮮やかな色彩を用いて描かれたものが多く登場するいっぽう、表面を火にかざすことで化学的な変化がもたらされた、白い絵具を使った作品も展示される。