EXHIBITIONS

荒木経惟 写狂老人A

荒木経惟 遊園の女 2017

荒木経惟 遊園の女 2017

撮影=野村佐紀子

 荒木経惟は、1960年代から今日まで第一線で活躍を続け、日本を代表する写真家の一人として世界的に高い評価を得ている。今年77歳を迎え、一層活発な活動を続ける荒木が本展に向けて制作した最新作を中心に、荒木の制作の原点とも言える1960年代制作のスクラップブックなどもまじえながら、その多様な活動を総数1000点超の壮大なスケールで紹介する本展。

 「写狂老人A」のタイトルは、老境に入り一層精力的に制作を続けた画家・葛飾北斎が70代半ばで「画狂老人卍」と号したことになぞらえ、荒木自身が表されている。荒木の制作活動からは、北斎と同様の、生涯を通じてあくなき探究を続け、道を究めようとする者に共通する人並みはずれたエネルギーが、時代やジャンルの違いを超えて伝わってくる。

 2017年現在、既に500冊を超える写真集を上梓している荒木は、そのテーマや手法が多岐にわたることでも知られるが、近年、自らの「死」に直面するような数々の体験を経て、「生」を見つめる眼差しは鋭さと深みを増し、長年の重要なテーマである「生と死」をより鮮明に表現。本展は荒木経惟の「現在」をいきいきと伝え、その広大かつ多様な活動の核心に迫る。