EXHIBITIONS

飯田Jennifer桃子、松本望睦

「アンルーリー|Unruly 」

2017.05.27 - 06.25

飯田Jennifer桃子 サファイア 2016 撮影=椎木静寧 Courtesy of TALION GALLERY

飯田Jennifer桃子 サファイア 2016 撮影=椎木静寧 Courtesy of TALION GALLERY

 飯田Jennifer桃子は、油彩のレイヤーを流動・積層させる独特な手法に取り組むペインター。平置きにしたキャンバスの上に液体状の油絵具を注ぎ、流動させながらイメージを固着させ、何層も重ねていく。流体としての絵具は、作家によって慎重にコントロールされながらも、その意図を離れて重力に従い、一度定着した絵具の色合いや形象も、有機体のように変化。そこには、作家の何かを描こうとする意志に対抗する、偶然性と複層的な時間が存在する。

 松本望睦は、サウンドデザインやトラックメイカーとしての仕事を手がけながら、ナイル・ケティングとのキュレーションユニットEBM(T)の活動でも知られ、「東京アートミーティングVI”TOKYO”ー見えない都市を見せる」(東京都現代美術館)のキュレーションに最年少で参加するなど、多様な活動を展開。作品制作の上では、音の中でもとりわけ声、それが発される母体を探ることをテーマとし、社会環境の変化に適応しないための能力を「積極的な退化」と呼んで顕在化させる。

「アンルーリー|Unruly 」とは、「手に負えない、規則に従わない」などを意味するが、ここでは主に、消えた島や隠れた砂漠、所在不明の都市など、いまだ明らかにならない地理上の場所を指す「Unruly Places」から着想を得ている。空間という抽象的で、合理化された概念に対して、空想的な逸話とされ、そこは無かったとされてしまうような場所として、本展覧会は提示される。