EXHIBITIONS

中ハシ克シゲ・谷穹展 泥仲間

左ー中ハシ克シゲ 何、見テンダ? Photo by yuichi kayano 右ー谷穹 信楽黒茶碗 Photo by tani-Q

左ー中ハシ克シゲ 何、見テンダ? Photo by yuichi kayano 右ー谷穹 信楽黒茶碗 Photo by tani-Q

 松の木、小錦、昭和天皇など日本的情景をテーマにした金属彫刻や、実物大のゼロ戦機を共同制作する「ゼロ・プロジェクト」など、コンセプチュアルな作品で世界的に知られる中ハシ克シゲ。2016年6月「もっと面白くなるかもしれない」(SUNABA GALLERY)で発表したのは、両手に収まるほどの土の塊による作品だった。押しては引き伸ばし、ちぎってはねじりして造形した粘土彫刻。2017年3月の鳥取県立博物館「ミュージアムとの創造的対話 01 Monument/Document 誰が記憶を所有するのか」展では、この即興的な「粘土を活ける」試みを継続して発表している。鳥取市内で行われた泥彫刻のワークショップでは、対話と交流がもたらす過程を作品の一部に組み込みながら、新しい彫刻の在り方を示してきた。

 谷穹は、国内外で「ゼロ・プロジェクト」を展開しはじめた中ハシ克シゲに、アシスタントとして同行。その後、家業の清右衛門陶房に戻り、信楽茶碗に正面から向き合った。「わび」「さび」を形容詞とする信楽の中で、中世・室町時代に作られた「古信楽」の探求をもとに、独自の作品を制作。2015年には、京都工芸繊維大学美術工芸資料館「これからの、未来の途中」に出展、それを機に京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAで個展を開催するなど、現代美術の舞台でも活躍の場を広げている。

 中ハシ克シゲが向き合う塑像の原点と、谷穹が探求する日本の幽玄美。本展では、二人が共通して扱う「土」を介しながら、日本の芸術の在り方に向き合い、世代や立場を超えてともに考える機会となる場を探る。