EXHIBITIONS

板橋廣美展 ―重力内無重力―

2018.11.06 - 2019.01.15

上:板橋廣美 梯子/下:板橋廣美 寂(部分)

 板橋廣美は、1948年東京三鷹市生まれ。社会人になってから岐阜の陶芸家・伊藤慶二の作品に出会い、陶芸技法による造形作品の制作を始める。

 「土を焼き固めるだけでなく、作品としての完成にたどり着くまでの段取りやシステムなどといったプロセスがやきものの醍醐味である」という考えのもと、造形のみならず技法においても幅広い作品を発表。ホテルや国内外の美術館にパブリックコレクションとして収められている。

 展覧会タイトルにつけられた「重力内無重力」とは、板橋が独自に使用する造形技法を指す言葉。釉薬をシャモット(粘土を焼成して粉砕したもの)の中に埋めて焼成する方法により、作品は空中で造形したかのような幻想的雰囲気と存在感を放つ。

 本展では、シャモットによるインスタレーション「寂」と、空気をはらんだような緩やかな曲線の美しい白磁のオブジェなど、約20点を展示。新たな技法や過程を経て、自由さと危うさを内包した板橋の作品は、やきものの本質とも言える、存在の根源へ問いを提示する。