『プレスアルト』誌と戦後関西の広告

　1937（昭和12）年に京都のワキヤ書房店主・脇清吉によって創設されたプレスアルト研究会は、広告印刷物やパッケージ、包装紙などの「実物」を、その批評を掲載した冊子とともに綴じ、『プレスアルト』誌として頒布した。関西発の他に例を見ないこのユニークな広告誌は、多くの広告制作者、グラフィックデザイナーたちにとって貴重な資料であったと同時に、創作の動力となって大きな影響を与えた。

　現代では、20世紀の関西を中心とした広告文化とグラフィックデザイン研究に欠かせない資料となっている『プレスアルト』誌。戦前発行分の調査は進み、復刻版という成果も生まれた。しかし、戦後に発行されたものについては、長らく掘り起こされることなく、静かに保管庫で眠っていた。

　本展は、近年整理が進められる大阪新美術館建設準備室所蔵の『プレスアルト』誌コレクションより、1950年代〜70年代を中心とした戦後発刊分を初めて「開梱」（アンパック）する。さらに、大阪府20世紀美術コレクションとサントリーポスターコレクションから選んだ、多彩な広告文化を示すポスター作品も展示。未だ評価の途上にある戦後関西の広告とデザインの新たな魅力を紹介する。