EXHIBITIONS

特別展「雪村-奇想の誕生-」

雪村周継 鍾馗図 1幅 個人蔵 展示期間=4月25日~5月21日

雪村周継 風濤図 1幅 京都・野村美術館蔵 重要文化財 展示期間=4月25日~5月21日

雪村周継 欠伸布袋・紅白梅図 3幅 茨城県立歴史館蔵 展示期間=3月28日~5月21日

 戦国時代の画僧、雪村周継(せっそん・しゅうけい)。武将の子として生まれながらも出家、画業に専心した雪村は、各地に活躍の場を移しながら水墨画を描き続けたとされるが、その生涯は多くの謎に包まれている。

 ダイナミックで人間味溢れる表現と繊細な描写の共存は、雪村の作品の特色のひとつだ。例えば《呂洞賓図(りょどうひんず)》の仙人の足元に描かれた波、《瀟湘八景図(しょうしょうはっけいず)》の風、《金山寺図屏風》に登場する人々など、大きな屏風から小さな掛軸に至るまで細部を注意深く見て見ると、各所に雪村のユニークな世界観が込められていることがわかる。そしてそれらの水墨画は、琳派を代表する尾形光琳や狩野派の絵師、近代では狩野芳崖、橋本雅邦などにも大きな影響を与えてきた。

 人物画や山水画、花鳥画、静物画での雪村の主要作品約100点と、後世の絵師たちが雪村に影響を受け、研究して描いた作品約30点で構成される、過去最大規模の回顧展となる本展。伊藤若冲、歌川国芳など「奇想」と呼ばれる絵師たちの先駆けとも位置づけられる雪村の、「奇想」の秘密と全貌に触れたい。