EXHIBITIONS

平野薫ー記憶と歴史

2018.07.22 - 09.24

平野薫 写真左・中央は《untitled –rain DDR–》 2014 Installation view : tim|State Textil and Industry Museum Augsburg Photo by Felix Weinold、右は《untitled –rain DDR–》(部分) 2014 Installation view : Arts Maebashi, Gunma Photo by Shinya KIGURE

平野薫 新作参考イメージ

 古着や布製の小物などを糸の1本1本にまで分解し、それらを展示空間の中に再構成する繊細なインスタレーションを手がけてきた平野薫が美術館での初個展を開催する。

 平野は1975年長崎県生まれ、2003年広島市立大学大学院修了。2007年に「第1回shiseido art egg賞」受賞。主な展覧会に、「Re-Dress」(SCAI THE BATHHOUSE、2012)、「服の記憶」(アーツ前橋、2014)、「Remembering Textiles」(LWL-Industriemuseum TextilWerk Bocholt、ドイツ、2016)、「交わるいと」(広島市現代美術館、2017)など。
 
 ドレスや下着、靴、傘などをモチーフとする平野の作品は、元の素材である糸の状態に戻されることでよれや色褪せを一層顕在化させ、身につけていた人の「気配」や「身体性」、個人の「記憶」を強く感じさせる。

 本展では、素材から漂う個人の記憶や経験を扱いながら、歴史という大きな流れの中に還元していくことをテーマとした新作3点を含む計4点を展示。3点の傘を組み合わせたインスタレーションでは、作家が留学したドイツの傘(旧東ドイツ製)と、故郷・長崎、現住地・広島で入手した傘を使用し、3つの都市が歴史的に強い意味を持つことを想起させる。