EXHIBITIONS

荒木経惟 「恋夢 愛無」

荒木経惟 恋夢 愛無 2018 © Nobuyoshi Araki

荒木経惟 恋夢 愛無 2018 © Nobuyoshi Araki

荒木経惟 恋夢 愛無 2018 © Nobuyoshi Araki

荒木経惟 恋夢 愛無 2018 © Nobuyoshi Araki

 タカ・イシイギャラリー 東京では初となる、荒木経惟の個展が開催される。

 荒木は1970年代初期より、被写体との極めて私的な関係性を撮影し、今日までの半世紀の間に写真集500冊以上におよぶ膨大な数の作品を発表してきた。自らの写真を、主観的な視点で物語が展開される文学形態である私小説になぞらえて「私写真」と呼び、「私写真(私小説)こそが写真である」とする態度は、71年に刊行された実質的な処女写真集『センチメンタルな旅』の序文において宣言され、以来すべての荒木作品に通底している。

 90年の愛妻・陽子の死後、作品にはエロス(生/性)とタナトス(死)が表裏一体により色濃く写しとられ、2000年代後半から自身に降りかかった度重なる病魔や、年月を重ねる中で身体や精神に現れる老いまでもが作品として結実する様は、17年に国内外の各地で20あまり開催された展覧会群でも広く紹介された。荒木にとってモノクローム写真は元来「死」を象徴するが、昨年以降、止まっているはずの被写体のうちに微動を感じ、「殺しちゃいけない。写真で撮ることは、最後まで微動して見えなくちゃいけない」と語っている。

 本展では、すべてが6×7の中判モノクロームフィルムで撮影された新作の写真作品99点を展示。「究極の写真はモノクローム」と断言する荒木の最新作を目にしたい。