EXHIBITIONS

紙を生きる-藤原志保「線」の軌跡

 ホワイトストーンギャラリー銀座新館で、藤原志保による個展「紙を生きる-藤原志保『線』の軌跡」が開催される。

 藤原は1944年兵庫県西宮市生まれ。少女時代に水墨画に開眼し、水墨画家に入門して墨と紙について研鑽を積む。1970年の鹿児島の奄美群島と北海道の釧路原野への旅行を契機に表現の転機を迎え、以降一貫して「墨と和紙による抽象表現」を志向する。1984年ブルー・メール賞、88年第8回現代美術今立紙展大賞、96年兵庫県芸術奨励賞、2006年亀高文子記念−赤艸社賞などを受賞。国内外で展示を行い、モノクロームの作品を平面から立体、インスタレーションへと展開してきた。

 墨と和紙による抽象表現を一貫して志向してきた藤原の、東京では30年ぶりとなる個展。本展では、「線」に焦点を当て、その表現を紹介する。

 本展について藤原は次のようにコメントしている。

「描かれた線や紙の形象には、作者のDNAはもとより、背負ってきた人生、人格、魂がにじみ出ています。墨と和紙の限りない可能性に魅せられて以来、折り紙の線、墨粒子の浸透の度合いが生み出す表情の変化等、誰も手掛けていない未知の境地を開拓しつづけてきました。

日本画家であった祖父の私への遺言は「人に媚びない、自分の表現したい作品を描きたいなら、自立できる仕事を持て」というものでした。さまざまな死生観に向き合わざるをえない看護師という職業を選んだのも、表現することと生きることを直結させたいという意識が働いたのでしょう。神戸市立中央病院を皮切りに65歳で定年を迎えるまで、日々患者さんに触れあうこと、墨と和紙のモノトーンの世界に対峙することは、どちらも私の日常を不可分に構成する現実であり、修行の日々であったともいえます。私の血となり肉となった経験の在りようや内観の変化は、新たなカタチを得、墨と和紙を媒介とする作品のなかで息づいているのではないでしょうか。

筆で描き、和紙の表層のみならず突き抜けたその先までを表現のフィールドとする。折り紙の折れ線には作家としての意志を託す―今展でフォーカスするのは、シンプルであるがゆえにリスキーな「線」。折ることで天衣無縫な展開を見せる「紙」との結託。その潔くも深遠な世界は、生の手触りの宝庫といえます。速度さえも内包する「線」から、物質性を越えたさまざまなシグナルを読み取って頂ければ幸いです」(プレスリリースより)。