石川和人

　2015年度「LUMIX MEETS BEYOND 2020 BY JAPANESE PHOTOGRAPHERS #3」のひとりに選出され、東京とパリの展覧会に出展、写真集を出版するなど現代写真の新鋭作家として現在活躍の場を広げる石川和人。

　昨年行われた初個展では「Humanity」シリーズを発表し、デジタルカメラを用いながら作品に落とし込む際のアナログな手法によって偶発的に生まれる、鮮やかで透明感ある色彩と、情報の器と化した現代の人々を思わせる朧げな表現で異彩を放った。最近では、写真の持つ非実体のイメージを覆すように、皮膚感覚へ訴える意欲的な展開を続けている。

　本展は、「過負荷な情報量を表面化させ、普段扱う情報を物量とした時に起きる感覚の差を明確にさせる試み」として、おびただしいほどの物質感と色彩を伴う「Overload」「Humanity」や初期作「Flowers」に加え、新作「The Automobile」の複数シリーズを同一空間で展示。膨大な情報に晒された人々を嘲弄するのではなく、身体と切り離せない個を持って生きる私たちへの慈しみにも似たメッセージを込める。