EXHIBITIONS

青野文昭「それぞれの惑星とその住人達」

2024.09.27 - 10.26

青野文昭

 LOKO GALLERYで、青野文昭の個展「それぞれの惑星とその住人達」が開催される。

 青野は1991年に発表した『修復について』、のちに『修復論』(1996年)とした論考をもとに「なおす」といういとなみに着目して、路上などで拾い集めた過去や記憶を伴った拾得物の欠片に精緻な修復を施した作品をはじめとして、フィールドワークにもとづく大規模な作品を発表し続けている。

「つくる」「こわす」「なおす」という一連の人間の根源的な行いはそれぞれを単純に分けることができるわけではなく『修復論』の末尾では「『なおすこと』は、カオスー 再生のメタファーであり、・・・・・・『つくる』いとなみからは見えてこない『なおす』といういとなみが内在する固有の生の全体性を具現した『創造性』ではないだろうか」と論じている。

 また青野は、震災後に集まってきた大量で多様な欠片たちの修復により「なおす」といういとなみを根源まで深めることとなり、そこには「情の世界」が表出してきたと言う。近年の大型展示のひとつである「せんだいメディアテーク」で行われた「青野文昭 ものの,ねむり,越路山,こえ」後に一連の制作活動を称して「総合的復元」としている。

 素材の主役である中古箪笥は、宇宙を彷徨う惑星の様相はあらわし、世界の無秩序を惑星的視点でとらえ直そうとしているようだ。