EXHIBITIONS

土屋仁応「動物と人」

土屋仁応 歩く人 2024

 メグミオギタギャラリーで、土屋仁応の個展「動物と人」が開催されている。

 土屋は1977年に生まれ。東京藝術大学で彫刻を専攻、2007年同大学大学院にて保存修復彫刻の博士課程を修了した。大学院では古い彫刻に数多く触れ、それらが時代ごとに極めて斬新な方法で制作されてきたことを学ぶ。この経験をもとに、土屋は伝統的な技法と革新的な表現をもちいて作品を制作。21年には熊野古道なかへち美術館(和歌山)にて個展を開催した。

 土屋は表面の白から内側の淡い色彩が微かに現れる、独自の彩色方法を確立。また、頭を割って水晶やガラスなどの玉眼を入れる、仏像と同様の制作方法をもちいて、神秘的な表情を持った作品を生み出す。ガラスの目はガラス作家の田中福男が担当し、本展では初めて目以外のガラス部分も制作している。

 土屋は、かたちのない想念を生き物の姿を借りて具現化した、象徴的な動物像をモチーフに制作している。神話や説話のなかに現れる動物のイメージを発想の起源とし、そのなかから生まれた生き物たちは、品種改良された園芸植物や観賞魚をヒントに突然変異や交配を繰り返し、様々な姿へ展開していく。

 本展にて土屋は、人物像を交えてより社会性を感じさせる木彫の新作を発表。土屋は古代からかたちづくられ、継承されてきた動物と人間の像について「人の部分が人間の自我や理性、動物の部分が人智のおよばないものを象徴し、それらの関係を表したもののように思う。さらにいえば、自然界と文明社会との調和を表しているようにも思われる」と述べている。土屋の作品を通して「人間とは何か」という普遍的な問いかけに向きあう展覧会となっている。

 また、同廊にて田中福男個展「その種として」も同時開催されている。