EXHIBITIONS

佐竹真紀子「あと咲くきざし」

Cyg art gallery
2024.04.13 - 05.06

佐竹真紀子《風景のつづき》2024

 Cyg art galleryで、佐竹真紀子による個展「あと咲くきざし」が開催されている。

 佐竹は東日本大震災の津波で流されてしまったバス停を模してオブジェをつくり再設置する《偽バス停》シリーズをきっかけに、被災地域を訪れ自身が目にした風景や人々の暮らしの様子、過去の出来事についての話などをもとにした制作と発表を続けてきた。佐竹の絵画は様々な色の絵具を塗り重ね、彫刻刀で削ることでモチーフを描き出していく手法が特徴。絵肌はまるで時間の積み重ねによって形成された風景の表層を掘り返しているかのようであり、過去から現在、未来へと連綿と続く人々の歩みから受け取ったイメージを可視化しているといえるだろう。

 近年は2019年の台風で浸水被害を受けた茨城県大子町など各地での制作活動とともに、メディアを通して知った災害の光景から着想を得た作品にも取り組み、佐竹が宮城県沿岸部で眼差してきた出来事とその変化を、遠く離れた土地にも投影しながら表現として深化させている。

 今回は、例えば災禍のような人生の変わり目となった出来事からしばらく月日が経ったのち、佐竹が人々の暮らしに見出した様々な変化の「きざし」をテーマとした作品を中心に発表する。また盛岡をモチーフにした佐竹の新作とともに能登半島地震へ向けたチャリティー企画も同時開催される。