EXHIBITIONS

三島喜美代 個展

⾋居/⾋居アネックス
2024.02.15 - 04.17

三島喜美代 モノローグ A/ Monologue A 1969

 ⾋居と⾋居アネックスにて「三島喜美代 個展」が開催されている。

 三島喜美代は1932年⼤阪市⽣まれ。現在、⼗三(⼤阪)と⼟岐(岐⾩)にて制作を行なっている。54年より独⽴展に出展し、86〜87年にロックフェラー財団の奨学⾦によりニューヨークに滞在。具象絵画から始まり、抽象絵画、コラージュ、エッチング、彫刻、陶、⼤規模なインスタレーションなど多種多様な媒体を介して、⽇本の⾼度経済成⻑によって⼤量に消費されたゴミや、氾濫する情報社会への「恐怖感」や「不安感」を作品にする。60代後半からはその「恐怖感」を、落とすと粉々に割れてしまうエフェメラルな性質を持つ陶で表現し、三島のゴミに対する「危機感」をよりリアルに表現。70年以降は陶を⽤いて、空き⽸や段ボール箱、コミックブックなどの代表作を発表してきた。

 三島は作品を巨⼤化させることに、クレス・オルデンバーグなどの影響はなかったといい、以下のように語っている。

「ただ⾯⽩いなと思ってやったというだけ。(中略)それを⼤きくすることによって、何か印象も違うし、やっぱり違う。同じサイズのもので⾒るのと、ワッと⼤きくするのと。直島でもそうだけど、ああいうふうに⼤きくすると、何かまた違う意味があるけども、私は強烈に⾯⽩いなと思ったんです」。

 本展に際し、⾋居では、溶融スラグで制作した⼤型作品《Work2003(Newspaper)》2点を中⼼に、新作の陶作品を展⽰。《Work2003(Newspaper)》はコマーシャル・ギャラリーでは初の展⽰となる。⾋居アネックスでは、平⾯作品「モノローグ」シリーズを5点紹介する。⽤を成した新聞『LIFE Magazine』、そのほか蚊帳や布団などの⾝近なゴミ使ったコラージュなど、⼀般に良く知られている平⾯作品とはまったく趣向を異にする「⼈体シリーズ」で、数点は今展が初公開となる。

 師でもあり伴侶でもあった茂司の「ずっと続けていればいつか⼥性として認められる時代が来る」という⾔葉を信じてひたすら制作に打ち込んできた三島。⽇本⼈⼥性という観点からどのように社会を⾒つめ、⾃⾝の⽣活を記録してきたか、新たな視点で三島作品を紐解く機会となるだろう。