ダレン・アーモンド「Timeline」

　SCAI THE BATHHOUSEでダレン・アーモンドの個展「Timeline」が開催されている。

　アーモンドは1971年イギリス、ウィガン生まれ。93年にイギリスにあるウィンチェスター・スクール・オブ・アート（Winchester School of Art）を卒業（BAFA）
し、現在はロンドンにて活動を行っている。

　SCAI THE BATHHOUSEでの7年ぶりとなる本展では、タイトルが示唆するように会場で複数の時間軸が交差する。本展で世界初公開となる新作シリーズ《エントロピー》と《英国の歌鳥》には、これまでの作家の軌跡を踏襲しつつも、コロナ禍や身近な人の死を経て更新されたアーモンド独自の時間概念が凝縮されている。

　本展のタイトルでもあるタイムラインは、通常、効率よく作業するために整理された時系列を意味する。アーモンドは、自然の周期的な時間に耳を傾けながらも、デジタル社会で一方方向に直進するオンライン上のシステムは、時間が不可逆的であることにより、回想が可能となり、人々が死すべき存在であることを知らせる装置であるとも指摘。複数の時間が交差する本展は、分散的で抽象的な時間の思索空間となり、生死をめぐる時間すら管理される現在の政治、社会、経済が置き去りにしてきた記憶や感情を蘇らせる。