EXHIBITIONS
小林孝亘 うつわたち Takanobu KOBAYASHI Vessels
西村画廊で、小林孝亘による展覧会 「うつわたちー Vessels」が開催されている。
小林は1960年東京日本橋生まれ。86年に愛知県立芸術大学美術学部油画科を卒業した。90年代半ばから頭角を現し、これまで国立国際美術館(2000)、目黒区美術館(2004)、横須賀美術館(2014)で個展を開催するほか、国内外で数多くの展覧会に出品してきた。22年は、豊田市美術館で個展「真昼」を開催し、同時開催のグループ展「サンセット/サンライズ」にも参加した。
小林は大学を卒業後、外界との接触を自己防衛的に避ける自身の投影として9年近く描き続けた「潜水艦」の時代を経て、器や枕、森など普遍的で日常的なものを題材に、光に重点を置いた絵画を制作してきた。つねに時流の動向から一定の距離を保ち、地道に自身の内側を手探りしながら本質的な表現を志向してきた小林の作品は、おもに正面から見た左右対称の構図で、普段目にしているごくありふれたものが、奇を衒わない丁寧な筆触で描かれているのが特徴的と言える。
そして、シンプルな絵画であるのに、あるいはそれゆえに、その見慣れたものが潜在的に持つ非日常性を浮上させ、ひいては「存在」していることの不思議を観者に意識させる、稀有な魅力を有している。対象が象徴的ないしは匿名的に描写されたその画面には、たとえば生きるために眠りを繰り返し死に至る人間の「生/死」の暗喩として枕を描いた「Pillow」シリーズに顕著なように、表裏一体の現象が静かに同居しており、「存在」というこの世界の神秘が輝かしく伏在している。
本展は、小林の代表的な題材であり、96年以来今日まで繰り返し描きつづけている「器」の新作絵画17点を紹介する。小林が絵にする器は、いずれも素朴で無装飾、食事の痕跡もなく、どこにでもありそうな̶̶誰もが概念として心に抱いていそうな̶̶普遍的な姿をしている。
小林は1960年東京日本橋生まれ。86年に愛知県立芸術大学美術学部油画科を卒業した。90年代半ばから頭角を現し、これまで国立国際美術館(2000)、目黒区美術館(2004)、横須賀美術館(2014)で個展を開催するほか、国内外で数多くの展覧会に出品してきた。22年は、豊田市美術館で個展「真昼」を開催し、同時開催のグループ展「サンセット/サンライズ」にも参加した。
小林は大学を卒業後、外界との接触を自己防衛的に避ける自身の投影として9年近く描き続けた「潜水艦」の時代を経て、器や枕、森など普遍的で日常的なものを題材に、光に重点を置いた絵画を制作してきた。つねに時流の動向から一定の距離を保ち、地道に自身の内側を手探りしながら本質的な表現を志向してきた小林の作品は、おもに正面から見た左右対称の構図で、普段目にしているごくありふれたものが、奇を衒わない丁寧な筆触で描かれているのが特徴的と言える。
そして、シンプルな絵画であるのに、あるいはそれゆえに、その見慣れたものが潜在的に持つ非日常性を浮上させ、ひいては「存在」していることの不思議を観者に意識させる、稀有な魅力を有している。対象が象徴的ないしは匿名的に描写されたその画面には、たとえば生きるために眠りを繰り返し死に至る人間の「生/死」の暗喩として枕を描いた「Pillow」シリーズに顕著なように、表裏一体の現象が静かに同居しており、「存在」というこの世界の神秘が輝かしく伏在している。
本展は、小林の代表的な題材であり、96年以来今日まで繰り返し描きつづけている「器」の新作絵画17点を紹介する。小林が絵にする器は、いずれも素朴で無装飾、食事の痕跡もなく、どこにでもありそうな̶̶誰もが概念として心に抱いていそうな̶̶普遍的な姿をしている。