lab.5 ROUTINE RECORDS

　金沢21世紀美術館のデザインギャラリーを調査・研究・実験の場として開く展覧会シリーズ「lab.」。第5弾は、気鋭の福祉実験ユニット「ヘラルボニー」の新プロジェクト「ROUTINE RECORDS（ルーティン レコーズ）」を紹介する。

　ヘラルボニーは「異彩を、放て。」をミッションに掲げて活動。日本全国の知的な障害のある作家や福祉施設と契約を結び、2000点を超える高解像度アートデータの著作権管理を軸として、福祉領域の拡張を見据えた多様な事業を展開している。

　今回の「ROUTINE RECORDS」はヘラルボニーにとって初めての美術館での展示活動となる。金沢21世紀美術館を拠点とした社会実装を通じて「障害」に対するイメージ変容と福祉を起点とした新たな文化の創造を目指す。

「ROUTINE RECORDS」は、金沢市内の特別支援学校や福祉施設、他県の福祉施設に通う知的障害のある人が習慣的に繰り返す、日常の行動（ルーティン）から生まれる音を丁寧に紡ぎ、音楽として届ける試み。

　会場では、個々の音の視聴コーナーや、ルーティン音をプロの音楽家が実験的に生成する楽曲の視聴、鑑賞者がルーティンによって生まれた音をリミックスし、新しい音楽を制作できるDJブースなどを設け、聴取した音が音楽となる創造的なプロセスを多角的に体験することができる。本展示が、多様な背景を持つ他者への理解を深める機会になればとしている。