EXHIBITIONS
篠原猛史「月の臨界角」
篠原猛史の個展「月の臨界角」が、京都のGALLERY TOMOで開催されている。
篠原は1951年京都府生まれ。73年に大阪芸術大学芸術学部芸術科を、78年にプラッツ・インスティトュートを卒業。昨年のGALLERY TOMOでの個展「月行観天望気論」では、「月」をテーマに作品を発表した。
篠原の制作についてや、今回の展示に寄せて、青山知相(GALLERY TOMO代表)は以下のステイトメントを出している。
「2022年:今を生きることを画面に定着させる旅。
篠原の最近の制作の動機は生の実感を持てるかどうかということだろう。昨年から、『月』がキーワードとなり、『自由』を反映した作品を展開している篠原。これまでの制作の基本姿勢とともに、これまでのアーティストとして様々な国を渡り歩き暮らしてきた体験や経験の蓄積を振り返るように画面の中に立ち現れるものとなった。
物の可視性。自らの混沌。人や動物が互いの関係性によって影響を及ぼし合い変化する軌道。光と影。関係の倒錯。孤独。循環と淘汰。様々な要素がエピソードのように並んでいく。
極めて個人的な体験というものは他者のいずれの眼にも見えない。篠原にとって体験そのものが作品の本質であり、作品を形作る集合的な構成概念となる。例えば描かれている地上に見えている木は、実際はその根が大切なところであって、その根が形さえ左右する。人の眼は全てにフォーカスしようとしても全てのものを見ることはできないが、目の前の物事は同時に進行していくものだ。
ソシュール、パロール以前に、人間の根本が大事であり、それが伴ってようやく自由に生きることへつながるのではないかとい篠原の思いが垣間見える。
今年になって制作に勇気が要るようになったと述べる篠原。おそらくそれは今ここにある時間の有限さを敏感に感じ取っているからではないかと考える。」
篠原は1951年京都府生まれ。73年に大阪芸術大学芸術学部芸術科を、78年にプラッツ・インスティトュートを卒業。昨年のGALLERY TOMOでの個展「月行観天望気論」では、「月」をテーマに作品を発表した。
篠原の制作についてや、今回の展示に寄せて、青山知相(GALLERY TOMO代表)は以下のステイトメントを出している。
「2022年:今を生きることを画面に定着させる旅。
篠原の最近の制作の動機は生の実感を持てるかどうかということだろう。昨年から、『月』がキーワードとなり、『自由』を反映した作品を展開している篠原。これまでの制作の基本姿勢とともに、これまでのアーティストとして様々な国を渡り歩き暮らしてきた体験や経験の蓄積を振り返るように画面の中に立ち現れるものとなった。
物の可視性。自らの混沌。人や動物が互いの関係性によって影響を及ぼし合い変化する軌道。光と影。関係の倒錯。孤独。循環と淘汰。様々な要素がエピソードのように並んでいく。
極めて個人的な体験というものは他者のいずれの眼にも見えない。篠原にとって体験そのものが作品の本質であり、作品を形作る集合的な構成概念となる。例えば描かれている地上に見えている木は、実際はその根が大切なところであって、その根が形さえ左右する。人の眼は全てにフォーカスしようとしても全てのものを見ることはできないが、目の前の物事は同時に進行していくものだ。
ソシュール、パロール以前に、人間の根本が大事であり、それが伴ってようやく自由に生きることへつながるのではないかとい篠原の思いが垣間見える。
今年になって制作に勇気が要るようになったと述べる篠原。おそらくそれは今ここにある時間の有限さを敏感に感じ取っているからではないかと考える。」