つながる琳派スピリット 神坂雪佳

　神坂雪佳（かみさか・せっか 、1866〜1942）は、明治から昭和にかけ、京都を中心に活動した図案家・画家。その展覧会「つながる琳派スピリット 神坂雪佳」が、パナソニック汐留美術館で開催される。

　明治時代の京都に登場した神坂雪佳は、本阿弥光悦、俵屋宗達、尾形光琳と尾形乾山らに代表される「琳派」の芸術に強い関心を寄せ、これを手本に、暮らしを彩るデザインを生み出した。また琳派の表現手法にとどまらず、その芸術家たちの活動姿勢にも共感し、自ら実践したことで、「近代琳派・神坂雪佳」とも呼ばれている。

　雪佳の創作活動の大きな特徴は、暮らしを彩るデザインを提供し、空間のトータルコーディネイトをした点にある。実用性の高い図案集の出版から、工芸品の意匠（デザイン）、調度品の装飾や絵画制作まで、幅広い仕事を手がけた。それだけでなく「光琳の再来」とも称される作風を築くとともに、京都産業界の振興、工芸界の活性化にも尽力した。

　本展覧会は、有数の琳派コレクションで知られ、雪佳にも早くから注目し顕彰してきた京都・細見美術館が監修。雪佳の代表的作品に、雪佳が手本とした琳派の美をうかがわせる本阿弥光悦、尾形光琳らの名品を加え、絵画・図案集・工芸品など約80点を展覧する（会期中、一部展示替えあり）。

　 20世紀において、欧州で当時最先端の美術工芸を視察したうえで、改めて日本古来の装飾芸術に立ち返り、琳派の研究に励んだ雪佳。本展では、古典と近代的発想を融合させ、美術と意匠の2つの分野を自在に往来した「近代琳派・神坂雪佳」の多彩な世界を紹介する。