EXHIBITIONS

布施琳太郎 個展「新しい死体」

PARCO MUSEUM TOKYO
2022.08.11 - 08.29

布施琳太郎 個展「新しい死体」キービジュアル デザイン=八木幤二郎

布施琳太郎 隔離式濃厚接触室 2020 撮影=竹久直樹

布施琳太郎 僕のいない教室に射した言葉の水面をすべる船 2021 撮影=長谷川銀

布施琳太郎 名前たちのキス 2021 撮影=Kioku Keizo

 アーティストの布施琳太郎が個展「新しい死体」を開催。PARCO MUSEUM TOKYOと渋谷を舞台に、型破りな「個展」を見せる。

 2020年、ウェブページを「会場」とした展覧会「隔離式濃厚接触室」(詩人・水沢なおとの2人展)を開催し、話題を呼んだ布施。翌年には、600ページに及ぶ冊子を「入場券」として配布し、1フロア1200平方メートルの造船所跡地をめぐる展覧会「沈黙のカテゴリー」のキュレーションを手がけ、若手アーティストや批評家、詩人、研究者らとの協働によって、ソーシャルメディアにより失われた「言葉」の奪還を試みた。

 そして今年5月、製本工場跡地のビル6フロアを使い、自身を含む総勢17名の作品を展示した展覧会「惑星ザムザ」は、10日間(延長2日間を含む)の会期中に4800人を動員するなど、その実践が注目され続けている。

 本展は「個へのレクイエム」として企図され、個展の概念を葬り去る「最後の個展」になるという。布施は本展に寄せて、「これは『人類最後の個(展)』である。ここで僕は『個』という権利の、新たな形式を開発したい。それは海へと流れ込むことを忘れられた渋谷川を動力として駆動する、忘却の旅(エクスプローラー)である」と述べている。

 PARCO MUSEUM TOKYOと渋谷が舞台となる個展は、会期中、渋谷スクランブル交差点の街頭ビジョンに、日没時刻にあわせた映像作品を放映する。さらに8月12日には、SUPER DOMMUNE(渋谷PARCO 9階)で本展の開催を記念した番組『布施琳太郎presents「個なき孤独」』が配信される予定だ。

 布施は1994年東京都生まれ。恋愛における沈黙、情報技術や詩によってアナグラム化された世界、そして洞窟壁画において変質する形態についての思考に基づき、iPhone発売以降の都市で可能な「新しい孤独」を実践してきた。絵画やテキストによる描写、展覧会や映像の編集などを、アーティスト、詩人、デザイナー、研究者、音楽家、批評家、匿名の人々と、様々な人たちと協働しながら行っている。主な個展に「イヴの肉屋」(SNOW Contemporary、東京、2022)「すべて最初のラブソング」(The 5th Floor、東京、2021)などがある。