EXHIBITIONS

小島修「Works 2008‒2022」

SOKYO ATSUMI
2022.08.06 - 09.14

⼩島修 Nostalgia22-01 2022 陶・ガラス H80×W92×D101cm Photo by Yuji Imamura

⼩島修 Nostalgia17-TWt-01 2017 陶・ガラス H129×W149×D95cm

⼩島修 紫紺 22-06 2022 陶・ガラス H47×W58×D27cm

 SOKYO ATSUMIでは、⼩島修の個展「Works 2008‒2022」を開催。作家にとって、東京での15年ぶりの個展となる本展では、信楽で制作した最新作「Nostalgia」シリーズのほか、9メートル超の⼤型陶板、新しい⽅向性を⽰した新作の⼩作品など、約10点が展⽰される。

 ⼩島は1973年福井県⽣まれ。2016年に国⽴台南芸術⼤学応⽤研究所修⼠課程を卒業。現在は三重県を拠点に制作を行い、アメリカや台湾で活動を広げてきた。

 陶⼟のブロックや原⼟、⽡などを積み上げて表現される⼩島の作品は、所々に配された釉薬が溜まり、流れ落ちることで、湧⽔や川泉などの⼒強くダイナミックな⾃然の⾵景を描写しているよう⾒える。そのいっぽうで、⼩島は⾃⾝の作品について、「私が作品に使⽤する陶⼟のブロック・原⼟・⽡は、城壁や⽯垣に使⽤されている⽯やレンガのイメージを呼び起こすものかもしれない。これらが意味するのは、⽂明によって創出されたテクノロジーの象徴である」と言う。

「Nostalgia」シリーズは、ロシアの伝説的映画監督アンドレイ・タルコフスキーの傑作『ノスタルジア』(1983)にインスピレーションを受けて制作された。そして「ノスタルジア」という過去の記憶が重要な意味を持つこの映画に、⼩島は⾃⾝の作品が内包する時の流れを感じ、共鳴したとのだと述べており、このように、⼩島は素材の背景にある歴史や、これから時を経ることで変化し続ける作品の姿を想像しながら制作に取り組んでいる。

 ⼈間にとってもっとも根源的な素材のひとつである「⼟」を、別の⽤途に役⽴てるために加⼯することは、⽂明の在り方とそのまま重なる。今回の個展「Works 2008‒2022」は、その歴史の延⻑に芸術が誕⽣する時間軸のなかで、いまを⽣きる⼩島がどのように作品と向き合い続けてきたかを⼀望できる機会となる。