EXHIBITIONS

生誕100年 清水九兵衞/六兵衞

2022.07.30 - 09.25

CORRESPOND 2000 岐阜県現代陶芸美術館蔵

方容(方容條文花器) 1958 個人蔵

壁 1966 個人蔵

赤流壺 1967 個人蔵

AFFINITYの継続 1976 彫刻の森美術館蔵

FIGURE E 1989 大阪府20世紀美術コレクション

CORRESPOND D 2006 愛知県美術館蔵

「生誕100年 清水九兵衞/六兵衞」展が京都国⽴近代美術館に巡回する。彫刻と陶芸、2つの表現領域で活躍した清水九兵衞/七代清水六兵衞(1922〜2006)の初となる回顧展。

 清⽔九兵衞/六兵衞は、塚本⽵⼗郎の三男として1922年に名古屋に⽣まれた。沖縄戦からの復員後、東京藝術⼤学⼯芸科鋳⾦部などで学び、51年に六代清⽔六兵衞の養嗣⼦となり陶芸の道に進んだ。陶芸家としての評価が⾼まるいっぽうで「もの」と周囲の空間に対する関⼼を深め、66年に初めて彫刻作品を発表。68年に「九兵衞」を名乗り、陶芸制作から離れ、アルミニウムを主な素材とする彫刻家として活動した。その作品は、構造と素材、空間などとの親和性(アフィニティ)を追求したもので、⽇本各地に設置された彫刻からもその創作意識をうかがうことができる。

 80年、清⽔は六代六兵衞の急逝を受けて七代六兵衞を襲名。以降の作品は⼟の性質や焼成によるゆがみを意図的に⽤いたものであり、そこで得られた経験を、陶とアルミを組み合わせた作品や、和紙やクリスタルガラスによる作品などに⽣かし、九兵衞/六兵衞としての新たな造形を⽰した。

 本展では、陶芸および彫刻作品のほか、清⽔⾃⾝が撮影した写真作品、彫刻制作のための図⾯やマケットなど、約170件の作品および関連資料を通じて、その⽣涯を回顧する。

 見どころのひとつは、五東衞の名で初めて彫刻作品を出品した「三浦景生・五東衞展 染と微動鋳体」(養清堂画廊、1966)に関する再検証だ。同展覧会では、これまで金属彫刻のみが展示されたと考えられてきたが、調査の過程で、金属彫刻のほかに陶器4点と木彫1点も出品されていたことがわかり、この機会に、彫刻家へと転進する時期の清水の創作活動を改めてたどる。

 また、清水が大型の彫刻制作にあたって用いた精緻な図面や、作品の構造などについての検討を重ねるために作成したマケットにも注目。資料のうち、第10回吉田五十八賞を受賞した《朱龍》(三井住友海上火災保険株式会社本店に設置)をはじめ、空間や建築との密接な関係に基づいて制作された野外・屋内彫刻の図面やマケットなどが並ぶ(会期中、一部作品に展示替えあり)。