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EXHIBITIONS

植田正治写真展「べス単写真帖 白い風」

Photo by Shoji Ueda

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 フジフイルム スクエア 写真歴史博物館が企画展「植田正治写真展 べス単写真帖 白い風」を開催している。

 日本を代表する写真家のひとり、植田正治(1913〜2000)。鳥取県に生まれた植田は、生涯、故郷の山陰地方にとどまり、アマチュア精神に貫かれた遊び心と旺盛な実験精神で、写真の新しい地平を築いた。独特の感性で創り出された作品は、時代や国境を超えて高い評価を受けるとともに、いまなお多くの人々に愛され続けている。

 植田が写真にのめり込んでいった大正時代は、日本の芸術写真が隆盛を極めた。当時、アマチュア写真家たちのあいだで、「ベスト・ポケット・コダック」という単玉レンズ付きカメラ(通称「ベス単」)のレンズフィルターのフードを外して撮影することで得られる独特のソフトフォーカス効果を使った写真が流行していた。これは数多くの芸術写真の傑作を生み出すとともに、青年期の植田もこの手法を黒白撮影に取り入れた。

 今回紹介する「白い風」は、それから半世紀後、植田が「べス単」の撮影手法を改めてカラー写真でよみがえらせた、日本の風景シリーズだ。撮影には、当時最新のネガカラーフィルム「フジカラーF-Ⅱ」が使われた。

 本展では1981年に日本カメラ社から刊行された写真集『白い風』より、40点を精選して展示。展示作品は、当時写真集を印刷するための入稿原稿として使用され、保管されてきた貴重なプリントで、写真展として公開されるのは今回が初めてとなる。