EXHIBITIONS
塔尾栞莉「あって ない / Atte nai」
MAKI Galleryは、塔尾栞莉の個展「あって ない / Atte nai」を開催。表参道ギャラリーのリニューアルオープン記念ともなる本展では、塔尾の新作15点を発表する。
塔尾は1994年大分県生まれ。尾道市立大学大学院美術研究科美術専攻油画コースを修了し、現在は大分を拠点に活動。幼少期のアルバムや自身で撮影した写真をモチーフに引用し、マスキングテープを使った特徴的な制作プロセスで、ふとした時に思い出される純粋な記憶の大切さと儚さを表現している。
作家が出身地・大分に戻ったのは2021年のこと。8年ぶりに故郷で過ごすなかで、かつて訪れた場所の多くがいまはもうなくなり、見慣れていた景色の変化が時の流れを感じさせ、塔尾に記憶や姿かたちあるものの存在をより深く意識する機会を与えた。
今回展示される新作《ルックアットミー》と《ほんの一瞬》は、塔尾の作品群に繰り返し登場するメリーゴーランドをモチーフに描かれている。幼少期に家族と遊園地に訪れた時の懐かしい思い出として、メリーゴーランドのゆっくりと回る動きやその煌びやかな装飾、人が触れてところどころ剥げた塗装などが断片的に思い浮ぶと塔尾は言う。2つの作品ではともに、作家の当時の記憶とそれに伴うロマンティシズムへの憧れや喜び、おとぎ話のなかにいたいと願う感情までもキャンバス上に蘇らせようという試みがなされている。
また《あった庭》は、かつての祖父母の家の庭を再現した作品。幼い頃、祖父母に会いに行くための場所だったこの家は、いまでは塔尾の実家となっている。増築されたことで庭の広さや雰囲気も様変わりし、作家は祖父母と過ごした懐かしい思い出とともに、その庭の存在をとどめようと作品化している。
本展のタイトル「あって ない / Atte nai」が示すように、塔尾は、記憶はあるようでないものとしてもとらえ、私たちのなかでぼんやりととどまり続ける記憶を拾い上げるように、独自のパフォーマティブな制作プロセスによって視覚化しつなぎ合わせている。在りし日の祖父母の家の庭や、選ばれる時を待つ店先の花束など多くの思い出が詰まった、塔尾の新作の数々を会場で鑑賞してほしい。
塔尾は1994年大分県生まれ。尾道市立大学大学院美術研究科美術専攻油画コースを修了し、現在は大分を拠点に活動。幼少期のアルバムや自身で撮影した写真をモチーフに引用し、マスキングテープを使った特徴的な制作プロセスで、ふとした時に思い出される純粋な記憶の大切さと儚さを表現している。
作家が出身地・大分に戻ったのは2021年のこと。8年ぶりに故郷で過ごすなかで、かつて訪れた場所の多くがいまはもうなくなり、見慣れていた景色の変化が時の流れを感じさせ、塔尾に記憶や姿かたちあるものの存在をより深く意識する機会を与えた。
今回展示される新作《ルックアットミー》と《ほんの一瞬》は、塔尾の作品群に繰り返し登場するメリーゴーランドをモチーフに描かれている。幼少期に家族と遊園地に訪れた時の懐かしい思い出として、メリーゴーランドのゆっくりと回る動きやその煌びやかな装飾、人が触れてところどころ剥げた塗装などが断片的に思い浮ぶと塔尾は言う。2つの作品ではともに、作家の当時の記憶とそれに伴うロマンティシズムへの憧れや喜び、おとぎ話のなかにいたいと願う感情までもキャンバス上に蘇らせようという試みがなされている。
また《あった庭》は、かつての祖父母の家の庭を再現した作品。幼い頃、祖父母に会いに行くための場所だったこの家は、いまでは塔尾の実家となっている。増築されたことで庭の広さや雰囲気も様変わりし、作家は祖父母と過ごした懐かしい思い出とともに、その庭の存在をとどめようと作品化している。
本展のタイトル「あって ない / Atte nai」が示すように、塔尾は、記憶はあるようでないものとしてもとらえ、私たちのなかでぼんやりととどまり続ける記憶を拾い上げるように、独自のパフォーマティブな制作プロセスによって視覚化しつなぎ合わせている。在りし日の祖父母の家の庭や、選ばれる時を待つ店先の花束など多くの思い出が詰まった、塔尾の新作の数々を会場で鑑賞してほしい。