EXHIBITIONS

大岩雄典「渦中のP」

space(十和田市現代美術館サテライト会場)
2022.07.01 - 09.04

目[mé] space 撮影=小山田邦哉

大岩雄典 margin reception 2021 撮影=鐘ヶ江歓一 ※参考作品

大岩雄典 刑吏たち伴奏たち 2022 撮影=湯田冴 ※参考作品

大岩雄典 《バカンス》より漫才映像 2020 出演=キヨスヨネスク・矢野昌幸 撮影=屋上 ※参考作品

 十和田市現代美術館のサテライト会場「space」が2022年7月より始動する。アーティスト・目[mé]が一軒の空き家をホワイトキューブへと改装した同名作品を展示室とし、若手アーティストの作品を紹介していく。

「space」初回の展覧会として、大岩雄典の個展「渦中のP」を開催。多層な空間と、物語やせりふといった言葉を中心にした作品の制作や、研究、執筆、キュレーションなど、多岐にわたり活動するアーティストを迎える。

 大岩は1993年埼玉県生まれ。現在、東京藝術大学大学院映像研究科博士後期課程に在籍。物語論・言語哲学、フィクション研究、ゲームスタディーズなどの自身の関心領域にとどまらず、戯曲、話芸、漫才、ホラーといった様々な言葉の様式を独自の視点から空間に組み込む(インストール)ことで、固有の時間感覚を持つ「空間芸術」として提示している。

 近作に、カードゲーム・インスタレーション《刑吏たち伴奏たち》(2022)、作家やギャラリー同士の経済関係をジュースに変換した《margin reception》(2021)、ノイズに苛まれる話芸としての「漫才」に着目した《バカンス》(2020)などがある。

 大岩は、美術館での初の作品発表となる今回のために、展示会場であり、目[mé]の作品でもある《space》と、その周辺の十和田市街の空間が持つ性質を注意深く観察し、これまでの自身の関心であった、ドラマ(劇)、鑑賞者の行為や動線、展覧会の制度との、一種の「地口」を見出したという。

 大岩による言葉遊びのような空間の操作は、「space」から十和田市街へ重ねて投影され、観客のパラノイア的な想像を掻き立てるとともに、目[mé]の作品への応答を見せる。