ARTISTS
菅野由美子
Yumiko Sugano
菅野由美子は1960年東京都生まれ。84年東京造形大学絵画科卒業。80年代に頭角を現した女性アーティストたちを呼称した「超少女」のひとりとして注目を集める。86年のシドニー・ビエンナーレや89年の「第3回アジア美術展」(福岡市美術館、横浜美術館、韓国国立現代美術館)ほか国内外の展覧会に参加し、木、鉄、粘土などを用いたコンセプチュアルな立体作品を発表。92年の個展を最後に活動を休止する。2007年に作品の発表を再開し、以降、身の回りにある器を丁寧に描いた古典的な油彩画を制作。均一に塗られた背景に様々な場所で集めた器を描いた作品は、中世ヨーロッパの静物画を思わせるいっぽう器を擬人化した肖像画のようでもあり、静謐な画面の奥にある力強い存在感によって、鑑賞者は自身の内面世界へと誘われる。近年は大きなキャンバスに複数の器を描くなど、新たな手法による作品にも取り組んでいる。