EXHIBITIONS
菅野由美子展
アーティストの菅野由美子が、ギャルリー東京ユマニテでは2年ぶりとなる新作展を開催する。
菅野は1960年東京都生まれ。84年東京造形大学絵画科卒業 。86年のシドニー・ビエンナーレ、89年の「第3回アジア美術展」(福岡市美術館、横浜美術館、韓国国立現代美術館巡回)など、国内外の展覧会に参加。活動初期はコンセプチュアルな立体作品などを発表していたが、92年の個展を最後に制作活動を休止。そして、15年ぶりとなった2007年の個展以降はそれまでの立体とは異なり、身の回りにある器のみを丁寧に描く古典的な油彩を発表している。
菅野の油彩画では、中世ヨーロッパの静物画を彷彿とさせる均一に塗られた背景に、作家が様々な場所で出会った器が、茶事の見立てのように物語に沿って選ばれている。目を凝らすと、それらはどこか擬人化された肖像画のようであり、また光線までも計算され、ほぼ実物大に描かれた器が配された画面は、淡々と過ぎていく平和な日々の一場面のようだが、その静けさの奥にある力強い存在感によって、見る者が自身の内面へと導かれるようでもある。
菅野の作品はストイックであるがゆえに、小さな画面から無限の広がりへとイメージは膨らんでいき、さらに近年は、均一だった背景がより重要な要素としてどこまでも続く迷宮のように描かれ、不可思議な存在感がより際立ってきた。今回の新作では様々なマグカップが登場する。
菅野は、制限ある生活が続いた2020年から友人たちにそれぞれが日々使っているマグカップの画像を送ってもらい、一つひとつ丁寧に観察し描き始めた。実際の手元にはないマグカップを描く行為は、会えない友人たちを思い、静かな会話を重ねることとなり、画面からはマグカップを通して多くのにぎやかな声が聞こえてきそうだ。身近にある何気ない器だけをモチーフに様々な思いが広がる、菅野の世界を体感してほしい。
菅野は1960年東京都生まれ。84年東京造形大学絵画科卒業 。86年のシドニー・ビエンナーレ、89年の「第3回アジア美術展」(福岡市美術館、横浜美術館、韓国国立現代美術館巡回)など、国内外の展覧会に参加。活動初期はコンセプチュアルな立体作品などを発表していたが、92年の個展を最後に制作活動を休止。そして、15年ぶりとなった2007年の個展以降はそれまでの立体とは異なり、身の回りにある器のみを丁寧に描く古典的な油彩を発表している。
菅野の油彩画では、中世ヨーロッパの静物画を彷彿とさせる均一に塗られた背景に、作家が様々な場所で出会った器が、茶事の見立てのように物語に沿って選ばれている。目を凝らすと、それらはどこか擬人化された肖像画のようであり、また光線までも計算され、ほぼ実物大に描かれた器が配された画面は、淡々と過ぎていく平和な日々の一場面のようだが、その静けさの奥にある力強い存在感によって、見る者が自身の内面へと導かれるようでもある。
菅野の作品はストイックであるがゆえに、小さな画面から無限の広がりへとイメージは膨らんでいき、さらに近年は、均一だった背景がより重要な要素としてどこまでも続く迷宮のように描かれ、不可思議な存在感がより際立ってきた。今回の新作では様々なマグカップが登場する。
菅野は、制限ある生活が続いた2020年から友人たちにそれぞれが日々使っているマグカップの画像を送ってもらい、一つひとつ丁寧に観察し描き始めた。実際の手元にはないマグカップを描く行為は、会えない友人たちを思い、静かな会話を重ねることとなり、画面からはマグカップを通して多くのにぎやかな声が聞こえてきそうだ。身近にある何気ない器だけをモチーフに様々な思いが広がる、菅野の世界を体感してほしい。