EXHIBITIONS

仙厓のすべて

2022.09.03 - 10.16

仙厓 指月布袋画賛 江戸時代 出光美術館蔵

仙厓 自画像画賛 江戸時代 出光美術館蔵

仙厓 さじかげん画賛 江戸時代 出光美術館蔵

 出光美術館で展覧会「仙厓のすべて」が開催されている。禅僧・仙厓(1750〜1837)の代表的な作品を紹介すると同時に、江戸時代後期を代表する趣味人としての、もうひとつの実像にも迫る。

 江戸時代の九州で活動した仙厓は、「扶桑最初禅窟(日本最古の禅寺)」とも呼ばれる聖福寺の第123世(および125世)の住持として活躍した臨済宗の古月派を代表する名僧だ。また、60歳代で虚白院へ隠棲して以降、晩年には数多くの書画を描いたことでも知られる。

 そのなかでも仙厓の「禅画」は、「厓画無法(仙厓の絵には決まった法などない)」の精神に基づいた、極めてユーモラスかつ自由奔放な作品で、斬新な表現や大胆なデフォルメにより、現代の私たちが見ても「楽しくて、かわいい」と感じる不思議な魅力に満ちあふれている。

 いっぽう、いま注目されているのは、隠棲後の仙厓の多彩な暮らしぶりだ。仙厓は旅好きで、九州北部に点在する名所旧跡を訪ねたり、筑前・筑後国(現在の福岡県)の名だたる山を踏破したり、あるいは珍しい石や骨董の蒐集に熱中したり、さらには博物学的な探究への関心も示すなど、多才な文化人であったことがわかってきた。

 本展では、出光美術館のコレクションから、仙厓の代表的な作品93件を展示し、そこに込められた心温まるメッセージを読み解きながら、仙厓の禅画を楽しみを紹介。また動・植物図や名所旧跡を描いた風景画、各地の祭礼や大道芸・相撲、庶民の生活などを活写した風俗画なども並ぶ。