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NEWS / HEADLINE - 2016.2.26

宮島達男のパブリックアート作品、六本木で5年ぶりの再点灯

2011年3月11日の東日本大震災から5年。震災発生2日後に消灯された、宮島達男のパブリックアート作品《Counter Void》が再点灯される。「Relight Days」と題し、2016年3月11日の点灯式に始まり、3日間にわたって未来の社会や人間のあり方を考えるワークショップやトークセッションを予定。1月28日に行われた開催発表記者会見での宮島達男の言葉とともに、本プロジェクトを紹介する。

宮島達男 Counter Void 2003 テレビ朝日所蔵

《Counter Void》(2003)は、全長50m、高さ5mの壁に表示される、6個の巨大な数字によって人間の「生と死」を表現した宮島達男によるパブリックアート作品。テレビ朝日が六本木に新社屋を設立した際に、コミッションワークとして制作された。

設置当初から点灯し続けてきた《Counter Void》は、東日本大震災発生の2日後に震災における犠牲者への鎮魂と節電のため、所有者のテレビ朝日の合意のもと、作者の宮島の手によって消灯された。

震災から時間が経過し再点灯への声が高まるなか、《Counter Void》の再点灯を目指して2015年4月に「Relight Project」が発足。震災から5年後の2016年3月11日に、再び点灯されることになった。点灯にいたった理由を「Relight Days」開催発表の記者会見で宮島はこう語った。

「時間が流れ《Counter Void》をただの壁ではなく作品だということを知らない人が増えてきた。震災後は消すことに意味があったが、その事実が震災とともに忘れられている。今度はつけることに意味があると思った。しかし《Counter Void》をただつければいいというのではなく、この作品を取り巻くさまざまなことをみんなで考えることが重要。今回の再点灯は私1人が決めたことではなく、すべて活動に賛同した有志によってつくられた『Relight Committee』のメンバーたちの調査や話し合いによって決定した。しかし今回の再点灯が『Relight Project』のゴールではない。また、《Counter Void》はきっかけに過ぎず、 私もサポーターの1人でしかない。このプロジェクトを実際に動かしているのは1人ひとりの『Relight Committee』メンバーであって、今後も新しい生き方や人間のあり方を考えるプラットフォームを目指すアートプロジェクトを、サポーターの1人として期待している」。

「Relight Days」開催発表記者会見での宮島達男

また、「Relight Project」が出した3日間限定というアイデアに対して宮島は「3日間限定というのがいいと思った。なぜなら、《Counter Void》の点灯が日常になってしまうと、ついた意味、消されていた意味がなくなってしまうから。再びつけて消すことによって、思考が深くなる」とコメントした。

「Relight Days」の3日間、思考するきっかけや学びの場を提供できるよう、「Relight Committee」は参加型プログラムを企画。2016年3月11日の点灯式を皮切りに、12日の日中には記憶する、思い出すという意味の「Memento」をテーマに、夜間は反射、反響を意味する「Reflection」をテーマに、さまざまな参加型のワークショップやサウンドインスタレーションが予定されている。

今回の「Relight Days」に先立ち、前年の「六本木アートナイト2015」に出品したキックオフイベントでは、消灯中の壁に「311が■ている。」というメッセージを貼り付け、参加者にそのメッセージから思い浮かぶ言葉を綴ってもらうワークショップが行われていた。その模様は「Relight Project」の公式サイトで見ることができる。

消灯中の《Counter Void》の上にメッセージを綴った  © Relight Project 撮影=丸尾隆一

記者会見の最後に宮島は、パブリックアートとしての《Counter Void》について「作品は制作当初から何一つ変わっていない。しかし、社会との関係の変化によって、作品の意味が変容せざるをえない。アートは使ってなんぼだと思っている。その点、『Relight Project』は作品を使い倒している。これからも作品を使って議論を交わし、思考することを促していってほしい。」と締めくくった。

本プロジェクトは、一般市民によって運営され、パブリックアートを媒介に人々の対話や思考を促す、数少ないプロジェクトである。《Counter Void》を消灯した後に、人々は何を思うのか? 作品はどのように再び変容していくのか? 今後の「Relight Project」の展開が期待される。

「Relight Project」メンバー © Relight Project 撮影=丸尾隆一

◎《Counter Void》(2003)とは?
セグメント表記された6個の数字は、9から1までカウントダウンし、0は表示せずに消灯。そして再び9に戻り、各数字はそれぞれ異なるスピードでカウントする。日中は数字を壁に白いネオンで表示。夜間は数字の背景をネオンで点灯し、消灯している「虚」(=void)の部分によって数字を浮かび上がらせる。数字の「光と闇」によって、人間の「生と死」を表現している。

PROFILE
宮島達男(みやじま・たつお) 現代美術家。京都造形芸術大学、東北芸術工科大学 副学長。1988年ヴェネツィア・ビエンナーレに招待され国際的に注目を集める。以来、「Art in You(芸術はあなたの中にある)」という考え方を基盤に、発光ダイオード(LED)を使った数字の作品やCG、ビデオなどで作品制作。これまで、世界30か国250か所以上で発表する。1998年ロンドン・インスティテュート名誉博士。

information

会期:2016年3月11日〜3月13日
参加費:無料
主催:東京都、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、NPO法人インビジブル
特別協力:MEDIA AMBITION TOKYO
 
3月11日(金)
17:50〜18:00 『Counter Void』点灯式
会場:六本木ヒルズけやき坂『Counter Void』前(東京都港区六本木6丁目9番)
 
3月12日(土)
14:00〜16:00「Memento」
18:00〜20:00「Reflection」
会場:六本木ヒルズけやき坂『Counter Void』前(東京都港区六本木6丁目9番)
※雨天中止、事前申込不要、参加費無料
 
3月13日(日)
14:00〜16:00
Relight Project×MEDIA AMBITION TOKYO
Relight Session Vol.3「アート × 社会 ー見えないものを想像するー」
「Counter Void」のコンセプトである「生と死」をテーマに、アートと社会の関係を語るトークセッション。
出演者:宮島達男(アーティスト/Relight Project メンバー)/ドミニク・チェン(起業家/情報学研究者)/菊池宏子 (NPO法人インビジブル クリエイティブディレクター/Relight Project メンバー)
会場:TSUTAYA TOKYO ROPPONGI 2F(東京都港区六本木6-11-1 六本木ヒルズけやき坂通り ゲートタワー)
定員:40名
 
【お問い合わせ先】
Relight Project運営事務局(特定非営利活動法人インビジブル内)
TEL:050-3710-8483
E-MAIL:info@invisible.tokyo
URL:http://relight-project.org/
*プログラムの内容は変更になる可能性があります

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