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デザインの力で豊かな未来を描く。
Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2024をチェック

東京ミッドタウンで、「デザインを五感で楽しむ」をコンセプトとしたイベント「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2024」が11月4日まで開催中。「つむぐデザイン-Weaving the Future-」をテーマに様々なコンテンツが展開されている会場をレポートする。

文・撮影=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部)

  六本木の東京ミッドタウンで、「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2024」が11月4日まで開催されている。

 Tokyo Midtown DESIGN TOUCH とは、「デザインを五感で楽しむ」をコンセプトとしたイベントだ。インテリアやプロダクト、グラフィックに加え、音楽や食など文化を形成するものすべてをデザインととらえ、様々なコンテンツを通じてより豊かな日常生活を提案することを試みている。

 17回目の開催となる今年のテーマは「つむぐデザイン-Weaving the Future-」。テクノロジーやシステムが急速な発展を遂げる現代において、より良い社会をつくり出していくための人々のこころの在り方をデザインの視点から提示するものとなる。

「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2024」キービジュアル。デザインは毎年JAGDA新人賞の受賞者が担当している。今年のビジュアルはグラフィックデザイナー・岡﨑真理子によるもの

来場者と作品が互いにデザインをつむぐ

 さっそく会場を回ってみよう。このイベントのメインエリアとも言える芝生広場とミッドタウン・ガーデンには、建築家2人によるサイトスペシフィックなコンテンツが展開されている。

 ひとつは、建築家のクマタイチによる大型インスタレーション《リレキの丘》だ。最新の木材加工技術によって形成された大中小3つのリングを用いて「木の地形」を生み出している。来場者はこのインスタレーションに登ってみたり、穴をくぐってみたりと、それぞれがこの作品の活用方法を自由に見出すことが可能だ。本作は制作過程が10月17日まで公開されており、18日からは完成品として楽しむことができる仕立てとなっている。

 また、会期中の土日祝にはこの作品の表面に貼ることができる「リレキシール」も配布され、自分がそこにいたという行為の履歴を残すことも可能だ。さらに10月20日には、音楽家・アーティストの蓮沼執太によるライブセッションもこの場所で行われる予定となっているため、あわせてチェックしてみてほしい。

会場風景より、クマタイチ《リレキの丘》(制作過程)。形状については、同じ広場内に常設されているフロリアン・クラールによる彫刻や少し勾配のある広場の地形など、場所との関係性を大きく取り入れている
リレキシール(イメージ)
建築家・クマタイチ インタビュー映像

 もうひとつは、同じく建築家の津川恵理による「都市の抽象化」をテーマとしたインスタレーション《都市の共動態》だ。一見用途がわからないこのオブジェは、ミッドタウン・ガーデンの微地形を3Dスキャンし、それにあわせて足場を設計。その上に水で硬化するコンクリートキャンバスを沿わせて制作されている。

 ゆるやかな形状をしているものの、このコンクリートキャンバスは非常に頑丈で、来場者はこの作品のうえに座ったり寝転んだりと、様々な行動をとることが可能だ。津川は、「突然現れたこのオブジェを前に人々はどのような反応を示すのか。また、それに対しどのような欲望を生み出すのか、というコンセプトにチャレンジした」と語っている。

会場風景より、津川恵理《都市の共動態》