人工知能(AI)や技術の急速な進歩が希望と恐れの両方を引き起こしているこの時代において、アーティストはどのように反応しているのだろうか。北京のUCCA現代アートセンターで開催中の韓国系アメリカ人アーティスト、アニカ・イーの個展「There Exists Another Evolution, But In This One」(〜6月15日)は、そのひとつの可能性を提示している。
本展は、イーにとって中国での初個展であり、UCCA現代アートセンターとソウルのリウム美術館が共同で企画したものだ。本展のために新たに委託制作された作品をはじめ、約40点の作品を通じてイーの絶え間ない進化する創作を探ることができる。

イーは、細菌、香り、天ぷらで揚げた花などの有機的で儚い素材を使い、人間の感情や感覚のニュアンスを繊細にとらえている。本展では、生、死、腐敗といった存在的な命題を問いかける作品が多数展示されており、展示空間のデザインも、実験室、宇宙船、企業のオフィスなどの無菌的な雰囲気を呼び起こしている。

本展のキュレーターのひとり、ピーター・エリーイ(UCCAキュレーター・アット・ラージ)は「美術手帖」の取材に対して、次のように話している。「本展では、コラボレーションがつねに重要であったアーティストに焦点を当てている。そのコラボレーションは、他者の参加、関心、専門知識への浸透性(permeability)を意味するだけでなく、彼女が作品を展示する環境の種類にも及ぶことを明らかにしていると思う」。